2026年06月04日

「嫌疑なし」か「起訴猶予」かは大違いなのに…なぜ今も「不起訴の理由は明らかにしていない」のか


以下は、弁護士ドットコムニュース(2026年06月04日)からの引用です。

「検察は不起訴の理由を明らかにしていない──。

事件報道で、こんな一文を目にしたことはないだろうか。

逮捕や書類送検の際には大きく報じられたのに、その後に不起訴となっても、なぜ起訴されなかったのかはわからない。

しかし、「嫌疑なし」か「起訴猶予」かで、意味は大きく異なる。

そんな中、最高検察庁は昨年12月、不起訴理由の公表を積極的に検討するよう全国の検察庁に指示した。

あれから半年。

検察の運用は本当に変わったのだろうか。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)

●同じ「不起訴」でも意味は大きく異なる

最高検察庁は2025年12月3日、「公益上の必要性の程度および公表による弊害の程度等を考慮し、相当と認められる場合には、裁定主文を公表する」との方針を示した。

簡単にいえば、「裁定主文」とは不起訴処分の類型を示すものだ。

本人の反省や示談の成立などを考慮して起訴を見送る「起訴猶予」、証拠が十分でない「嫌疑不十分」、犯人ではないことが明らかな「嫌疑なし」がある。

これらは同じ不起訴でも意味が大きく異なる。

たとえば起訴猶予は、被疑事実自体は認められたというメッセージにもなりうる一方、嫌疑なしは事実上の無実を意味する。

それにもかかわらず、不起訴の理由が説明されなければ、逮捕や書類送検時に実名報道された人の名誉回復につながらず、捜査機関に対する不信を招く可能性もある。

最高検は昨年12月に発表した文書で、公表できない場合でも「一定の説明や明らかにできない理由の説明を行う」と明記している。

●有名人でも「明らかにしない」ケースは続く

この半年間の報道を見ると、対応はまちまちだ。

俳優の広末涼子さんが搬送先の病院で看護師にケガを負わせたとして現行犯逮捕された事件では、静岡地検が不起訴とした際、「起訴猶予」であることを公表した。

朝日新聞によると、静岡地検は「事案の軽重や犯行後の状況を含めた関係証拠の内容を踏まえた」と説明したという。

一方で、不起訴となっても理由を明らかにしないケースは少なくない。

麻薬取締法違反などの疑いで書類送検された俳優の米倉涼子さんについて、東京地検は今年1月に不起訴としたが、その理由は明らかにしなかったようだ。

●メディアが「翻訳」するケースも

政治関係者の場合はどうだろうか。

兵庫県知事選をめぐり、県議会議員への脅迫などの容疑で書類送検された「NHKから国民を守る党」の立花孝志党首(死亡した別の県議への名誉毀損罪で起訴)について、神戸地検は不起訴処分とした際、「嫌疑不十分」と説明した。

また、昨年7月の参院選の街頭活動をめぐり、公職選挙法違反の疑いで書類送検された国民民主党の岡野純子衆院議員について、千葉地検は「嫌疑不十分」で不起訴にしたと発表したという。

捜査機関の職員による事件もあった。

虚偽の捜査報告書を作成したなどとして書類送検された滋賀県警の20代巡査長について、大津地検は「起訴猶予」としたうえで、「事件の捜査遂行に影響を与えたとは認められないことなどを考慮した」と説明したという。

一方、新潟県警の50代警部補が後輩に対するパワハラを理由に脅迫容疑で書類送検された事件では、新潟地検は不起訴の理由について「態様や諸般の事情を考慮した」と説明するにとどまった。

これを受けて、地元紙の新潟日報は「起訴猶予とみられる」と報じていた。

●熊本地検「刑訴法により明らかにできない」連発

記者の印象に残ったのが熊本地検の対応だ。

地元メディアの報道をもとに見ていく。

10代女性にわいせつな動画を撮影させ、SNSで送信させたとして男女3人が逮捕された事件で、熊本地検は不起訴の理由について「刑事訴訟法47条により、不起訴の理由を明らかにできない」と説明したという。

刑事訴訟法47条は次のように定めている。

<訴訟に関する書類は、公判の開廷前には、これを公にしてはならない。但し、公益上の必要その他の事由があつて、相当と認められる場合は、この限りでない>

熊本ではこのほか、女性が息子に対する保護責任者遺棄の疑いで逮捕された事件などでも、同様に刑事訴訟法が持ち出されるケースが見られた。

●弁護人がメディアに説明することも

別の説明がされる事件もあった。

自宅に放火した疑いで逮捕された女性について、熊本地検は不起訴理由を「プライバシー保護のため、明らかにできない」と説明した。

また、不同意わいせつの疑いで逮捕された元熊本市職員の男性については、不起訴の理由自体は公表されなかった。

しかし、報道各社は「弁護人によると、嫌疑不十分と判断されたという」と報じていた。

●開示請求に「不存在」「存否応答拒否」

では、不起訴理由の公表はどのような基準で判断されているのだろうか。

弁護士ドットコムニュースは2025年9月、「報道機関に不起訴の理由を発表する方法や手続きの流れ、説明する内容に関して内部で共有されていることが詳しくわかる文書」という趣旨で開示請求をした。

しかし、返ってきたのは「対象文書不存在として不開示決定を行う」という回答だった。

その後、最高検が新たな方針を示したことを受け、その内容に関する文書を改めて請求したところ、今度は「文書が存在しているか否かを答えるだけで、検察庁内部の協議・検討に関する情報を開示することとなる」として、存否すら教えてもらえなかった。

●関係者「基準は示されていない」

ある検察関係者は「統一的な基準が示されているわけではない」と話す。

そのうえで「特に性犯罪は、不起訴の理由を明かすことで被害者が示談に応じたかなどがわかることがあるので、扱いが難しい」と説明した。

こうして見ていくと、最高検が公表拡大の方針を打ち出した後も、現場の運用は全国で統一されているとは言い難い。

「検察は不起訴の理由を明らかにしていない」。そんな一文がニュースから消える日は、まだ先になりそうだ。」





弁護士ドットコムニュースの記事なのですから、被疑者やその弁護人が請求すれば、不起訴処分の理由が記載されている「不起訴処分理由告知書」を入手することができることについても、触れた方が良いのではないでしょうか。

posted by 森越 壮史郎 at 18:57| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年04月02日

証拠隠滅教唆罪で在宅起訴 愛知の弁護士、接見中撮影


以下は、共同通信(2026年04月01日)からの引用です。

「名古屋地検は31日、勾留中の男と警察署で接見し、男が書いた証拠偽造を指示するメモを携帯電話で撮影して関係者に送ったとして、証拠隠滅教唆の罪で、愛知県弁護士会所属の中山敬規弁護士(67)を在宅起訴した。

起訴状によると、昨年7月8日、名古屋市内の署で野口隆希被告(25)=麻薬取締法違反罪などで公判中=と接見。

警察の捜索前にコカイン入りのカプセル剤を、市内のマンション一室に置くよう指示する内容が書かれたノートを撮影し、被告のいとこ野口裕樹被告(27)=証拠隠滅などの罪で公判中=に送り、実行するよう唆したとされる。

隆希被告がコカインが入っていると知らずに飲んだように偽装する意図があったとみられる。

裕樹被告の公判で、検察側は中山被告の供述調書を朗読。

隆希被告から内容を見ずに送るよう頼まれたことや、今回の件以外にも隆希被告から指示されて手紙を撮影して外部の関係者に送ったことがあると、取り調べで話していたと明らかにした。

刑事訴訟法では、容疑者や被告が弁護人と警察官などの立ち会いなしに面会できる接見交通権が保障されている。」





金銭がらみの不祥事は相変わらず多過ぎて取り上げる気になりませんが、最近は、ニュースになるかどうかは別として、接見がらみの不祥事が増えているような気がします。

いつも、何でこんなことをするのだろうかと思うのと(やはり金銭目当てでしょうか)、警察官などの立ち合いなしに面会できる接見交通権が保障されているのになぜばれるのだろうかと思います。

本件の場合、証拠隠滅などの罪で公判中のいとこからばれたということなのかも知れませんが、被疑者・被告人の逆恨みと思われるケースが多いような気がします。

ですので、弁護士にとっては、危ない橋を渡るだけのメリットはないと思います。

posted by 森越 壮史郎 at 14:09| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2026年01月19日

B型肝炎「再々発型」患者も救済で全国初の合意…福岡高裁「速やかに広く被害救済が進むことを希望する」


以下は、讀賣新聞オンライン(2026/01/16)からの引用です。

「乳幼児期の集団予防接種が原因で、B型肝炎の発症を繰り返す患者らが国に損害賠償を求めた訴訟の控訴審は15日、福岡高裁(河合芳光裁判長)で和解が成立した。

3度目の発症をした「再々発型」患者を初めて救済する。

国側と合意した枠組みは全国の原告に適用され、これまで給付金を満額受け取れなかった患者も救済されることになる。

2021年の最高裁判決は、20年で賠償請求権が消滅する除斥期間の起算点を再発時として「再発型」患者を救済する初判断を示し、これにとどまらない「全体的な解決」も補足意見として付言した。

判決に基づき、別訴訟の控訴審が継続していた福岡高裁で、全国の再発型、再々発型の原告を救済する枠組みを決める協議が続けられていた。

15日は2回目と3回目の発症も起算点とする「基本合意書」に国側と弁護団が合意した。

合意書に基づき、1審・福岡地裁で敗訴し、控訴していた60〜70歳代の原告7人(再発6人、再々発1人)について和解が成立した。

弁護団によると、高裁は「速やかに、広く被害救済が進むことを希望する」との考えを示した。

合意書には救済する患者の条件や、過去の医療記録がない患者も条件付きで認定する枠組みが盛り込まれた。

弁護団が訴訟を担当する全国約400人の原告のうち、約160人が再発型や再々発型に該当する可能性がある。

弁護団によると、提訴していない患者も一定数いるとみられる。

B型肝炎を巡っては、慢性患者の場合、裁判を起こして和解すれば最大1250万円の給付金が支払われる。

一方、20年の除斥期間が経過した場合は満額の4分の1以下と設定されている。

今回の合意は今後提訴する全国の原告にも適用され、すでに減額されて給付を受けた元原告も差額を受け取れるという。

再々発型の三重県の女性(70歳代)は「お金の問題ではなく、国の責任で長く苦しんだ人ほど救済されない不平等な制度が許せなかった。救済対象となり、安心している」と述べた。

九州弁護団の小宮和彦代表は「解決に向けた大きな一歩」と評価した一方で、肝機能値の異常が20年以上続く「継続型」などの救済が難しいことを挙げ、「国策の集団予防接種による感染。除斥期間の適用は権利の乱用だという闘いは続けていく」と述べた。

厚生労働省は「早期の救済が進むよう取り組んでいく」とコメントした。」





厚生労働省のホームページにも、早速、「基本合意書(その3)について」が掲載されています↓

基本合意書(その3)のPDFファイル↓の末尾を見ればわかるとおり、全国B型肝炎訴訟原告団 ・全国B型肝炎訴訟弁護団 と厚生労働大臣(国)との間の合意です。

B型肝炎訴訟に関するお問い合わせは、全国B型肝炎訴訟北海道弁護団↓の事務局までお願い致します。

〒060-0042 札幌市中央区大通西12丁目ウエスト12ビル4階
全国B型肝炎訴訟北海道弁護団事務局
TEL 011-231-1941
FAX 011-231-1942

posted by 森越 壮史郎 at 18:31| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする