以下は、読売新聞オンライン(2022/10/10)からの引用です。
「医療事故の再発防止を目指す「医療事故調査制度」で、第三者機関の医療事故調査・支援センターに報告された死亡事故は昨年10月からの1年間に277件と、過去最少を更新した。
コロナ禍による診療制限などが影響した面はあるものの、医療機関が報告に消極的な傾向も指摘されている。
調査制度は2015年10月に導入された。
医療法に基づき、医療事故を第三者機関に報告し、調査することを医療機関に義務づけている。
厚生労働省は年間1300〜2000件の報告を想定していたが、1年目から388件にとどまり、低調に推移している。
報告が少ない背景には、制度の対象が「医療に起因する予期しなかった死亡や死産」に限られていることや、医療事故として調査するかどうかの判断が管理者である院長に委ねられていることなどがある。
調査が個人の責任追及につながることを懸念する声があり、報告を避ける医療機関も多いのが実情だ。
医療事故の遺族らでつくる「患者の視点で医療安全を考える連絡協議会」は、制度の見直しを議論する検討会の設置などを求める要望書を国に提出している。」
導入当初から言われていたことですが、病院側からしか調査を求めることができないのが、最大の問題点でしょうね。
それだけではなく、先日、遺族から相談があり、この制度で調査中ということで、その結論を待っていましたが、結論が出るまでに優に3年以上かかりました。
相談に来た時点で、ほぼ3年が経過していたので、我々としてもどうしようもありませんでしたが、結論が出た時点で、3年という不法行為に基づく損害賠償請求権の消滅時効期間が既に経過していました。
最高裁判所平成24年2月24日判決↓の影響で、債務不履行構成でも、弁護士費用が認められる傾向にあるようですが、不法行為構成の場合には、事故日から当然に遅延損害金が付加されるのに対して、債務不履行構成の場合には、請求した日の翌日からしか遅延損害金が付加されない等、全く同じという訳ではないので、もう少し早く結論を出すようにする必要もあると思います。