以下は、共同通信(2020年11月26日)からの引用です。
「地方議員は議会による出席停止処分を裁判で争えるのか―。
宮城県岩沼市議会の前市議が処分取り消しを求めた訴訟の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長・大谷直人(おおたに・なおと)長官)は25日、「司法審査の対象外」とした60年前の判例を変更し「常に裁判の対象となる」と判断した。
選挙で選ばれた議員の責務を重視する内容で、対象にならないと主張した市側の上告を棄却した。
15人の裁判官全員一致の結論。
大法廷は「地方議員は住民の意思を自治体の決定に反映させるために活動する責務を負う」と指摘。
議事に参加できなければ、責務を十分に果たせなくなるとした。
議会に一定の裁量は認められるものの「議員活動への制約の程度を踏まえると、処分の適否が専ら議会の自主的、自律的解決に委ねられるべきだとは言えず、司法審査の対象となる」と結論付けた。
行政法学者の宇賀克也(うが・かつや)裁判官は「議会の自律性の全面否定にはならず、乱用的な懲罰の抑止が期待できる」との補足意見を付けた。
最高裁は1960年の大法廷判決で「出席停止は内部規律の問題として裁判で扱うことが適当ではない」として議員の身分を失う除名以外の処分は、裁判の対象から外すべきだとしていた。
今回の訴訟の原告は前岩沼市議大友健(おおとも・けん)氏(71)。
同じ会派の議員が懲罰を受け陳謝文を読み上げたことについて、2016年6月の議会運営委員会で「政治的に妥協した」と擁護したことを理由に9月定例会の23日間を出席停止とされ、議員報酬も減額された。
一審仙台地裁は18年3月、従来の判例に従い訴えを却下。
同8月の二審仙台高裁判決は「議員報酬の減額につながる場合は司法審査の対象になる」と一審を取り消し、差し戻した。
最高裁判決を受け、今後再び仙台地裁で審理される。」
当然、裁判所のホームページに掲載されています↓
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89851
ちなみに、60年前の昭和35年10月19日大法廷判決は↓
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52951
部分社会の法理という、司法試験受験生時代の懐かしい憲法の論点ですが、自分が生まれるよるも前の裁判官が書いた判例や、教科書に書いてあることを丸暗記するのではなく、自分で考える力が、何より大切ですね。
このブログの筆者のホームページはこちら