以下は、朝日新聞デジタル(2020年11月18日)からの引用です。
「一票の格差が最大3倍だった昨年7月の参院選は投票価値の平等を求めた憲法に反するとして、弁護士たちが選挙のやり直しを求めた裁判の上告審判決で、最高裁大法廷(裁判長=大谷直人長官)は18日午後、「合憲」と判断した。
国会の格差是正の取り組みを「大きな進展を見せているとはいえない」としつつ、2015年に導入した合区を維持したことなどを評価し、原告側の上告を退けた。
裁判官15人のうち10人の多数意見。
5人の個別意見があり、行政官出身の林景一裁判官、弁護士出身の宮崎裕子裁判官、学者出身の宇賀克也裁判官は「違憲」とする反対意見を付けた。
昨年の参院選では、議員1人を選ぶ有権者数が最も少なかった福井県の約65万人に対し、最も多かった宮城県は3倍の約194万人。
宮城の人の一票の価値は、福井の「0・33票」という状態だった。
都道府県を基本とした選挙区割りと定数配分の偏りから生じる格差で、都市部の一票の価値が軽くなる傾向にある。
山口邦明弁護士と升永(ますなが)英俊弁護士のグループは、区割りと定数を決める公職選挙法が差別を生んでいると主張。
同法の規定上、一審となる高裁・支部に計16件の裁判を起こした。
争点は@違憲といえるほど不平等かA前の選挙からその不平等を改善しなかったことが「国会の裁量権」の限界を超えているか。@だけだと「違憲状態」という中間的な判断で、結論は原告の敗訴となる。
高裁判決では高松と札幌だけが違憲状態とし、14件は合憲とした。
合憲判断の多くは、国会が2015年の公選法改正で導入した「合区」を維持したことを評価した。
鳥取と島根、徳島と高知の選挙区を一つにまとめることで、16年選挙の最大格差は13年の4・77倍から3・08倍に縮小。
この方式は今回の訴訟の対象となった19年選挙も残った。
一方で国会は、合区導入時に「抜本的な見直しについて引き続き検討し、必ず結論を得る」と宣言しながら、続く18年の法改正は埼玉県選挙区の定数を調整するにとどまった。
比例代表には、合区で立候補できなくなった議員を救済する「特定枠」を作った。
上告した原告らは「改革姿勢が後退したのは明らか」とし、「格差3倍なら問題ないという誤ったメッセージを与えてはならない。議員に任せても解決はできず、積極的な違憲判断を」と訴えていた。」
早速、裁判所のホームページに掲載されていますね↓
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89797
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89841
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89842
議員さん達にとっては、格差3倍なら問題ないというメッセージにしか、取れないんじゃないですかね。
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