以下は、共同通信(2020年11月12日)からの引用です。
「滋賀県内の公園近くに放置された他人の自転車を使ったとして、占有離脱物横領罪に問われた男性(51)に、大津地裁(斉藤隆広(さいとう・たかひろ)裁判官)が不法領得の意思を否定して無罪を言い渡し、検察側は控訴せず判決が確定した。
男性の代理人弁護士が11日、明らかにした。
男性側弁護士や判決によると、男性は住所不定で無職。滋賀県東近江市で6月に放置自転車を使った疑いで同県警に逮捕され、占有離脱物横領罪で起訴された。
公判で男性側は、社会福祉法人に行って家探しや食料の支援をしてもらうために自転車を短時間使ったことを認めつつ、元の場所へ戻そうとしていたことなどを訴えて無罪を主張。
検察側は罰金10万円を求刑した。
斉藤裁判官は10月27日、判決理由で男性側を支持し「自転車を不法に手に入れる意思があったとは認められない」とした。
検察側は期限の今月10日までに控訴しなかった。
男性は逮捕から約4カ月、勾留された。
代理人の杉本周平(すぎもと・しゅうへい)弁護士は「(検察側は)自転車使用の状況や目的などについて、詳細な取り調べを怠ったのではないか」とし、刑事補償を請求する方針。
大津地検の山上真由美(やまがみ・まゆみ)次席検事は「証拠を精査するなどし、控訴しないこととした」としている。
放置自転車を巡っては、コンビニに向かうため駐輪場にあったものを使ったとして占有離脱物横領罪に問われた20代男性に、福岡地裁が不法領得の意思を否定し9月に無罪判決を言い渡した。
福岡地検は控訴している。」
不法領得の意思ですか。
司法試験受験生時代以来の懐かしい響きですね。
結局、元の場所に戻そうとしていたという言い分が、合理的かどうかが分かれ目でしょうね。
弁護士になって独立してからのことですが、昔の事務所があったビルのすぐ前の大通公園の自転車置場に自転車をとめておいたところ、鍵をかけていたにもかかわらず、盗まれてしまったことがありました。
盗まれてどの位経ってからだったかは忘れてしまいましたが、数日後とかではなく随分経ってから、何と、同じ自転車置場に、盗まれた私の自転車が、違う鍵をかけてとめてあるのを発見しました。
盗難届を出した交番に連絡したところ、張り込みをしてくれて、夕方、犯人?が見つかったそうですが、お巡りさんいわく、犯人?の言い分によると、大通公園の自転車置場で盗んだ訳ではなく、他の公園で鍵もかけずに放置してあるのを見つけて、乗っていたのだそうで、お巡りさんから、「弁護士さんだからわかっているでしょう」みたいなことを言われて、処罰ということにはなりませんでした。
まあ、確かに、普通の神経であれば、自分が盗んだ場所に、盗んだ自転車をのうのうととめておくことはないでしょうから、犯人?の言い分は事実である可能性が大ですが、その言い分を前提としても、窃盗罪は成立しないものの、自分の鍵をかけてまで拾った自転車を使っていたのですから、不法領得の意思は、優に認められ、占有離脱物横領罪は成立すると思いますが…。
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