以下は、日本経済新聞(2020年7月15日)からの引用です。
「新型コロナウイルスの感染拡大で裁判期日取り消しなどが相次いだことを巡り、最高裁と全国8高裁は15日、問題点を検証する会議を開いた。
感染の再拡大に備え、公正・迅速な裁判と感染防止を両立するため、コロナ下の新しい裁判運営を模索する。
裁判のIT化も急務だ。
最高裁幹部と全国の高裁長官は15日、テレビ会議で協議。
最高裁の大谷直人長官は「感染の拡大防止と紛争解決機関としての役割を調和させ、実行することが最大の課題だった」と振り返り、「裁判運営も視野を広げて現在のありようを見直し、運用改善の実践が求められている」と述べた。
感染が再拡大した場合の期日の扱いを巡り、「各地の実情に応じ、地域社会と歩調を合わせて判断すべきだ」との意見が出たほか、民事訴訟の争点整理をオンラインで進める「ウェブ会議」の活用を求める声もあった。
各地の裁判所は緊急事態宣言後、逮捕状などの発行、勾留の判断、ドメスティックバイオレンス(DV)関係の手続き、急を要する仮処分の申し立てなどを除いた業務を大幅に縮小した。
司法統計によると、全国の裁判所で5月に判決や決定などがあった民事・行政訴訟の事件数は約5万4千件。
昨年5月の約11万7千件と比べて46%の水準にとどまった。
本庁だけで1日400件以上の裁判が開かれる東京地裁では緊急事態宣言で多くの民事訴訟の手続きが止まり、裁判員裁判は3〜5月に計34件の期日が取り消された。
家裁の調停なども中断が相次ぎ、別居する親子がふれあう「面会交流」が途絶える事態を招いた。
日本弁護士連合会は4月、「迅速な裁判を受ける権利は最大限尊重されなければならない。特に身体拘束されている被告の不利益は甚大」として裁判所に柔軟な対応を求める会長声明を出した。
ある法曹関係者は「在宅勤務や休校などで社会全体が外出を控える中、裁判や調停で裁判所に出向いてもらうのは難しい面があった」と漏らす。
ウェブ会議は導入済みの14裁判所で4〜5月に計167件の利用実績があり、コロナ下でも訴訟手続きを継続する上で一定の役割を果たした。
ウェブ会議は今年度中に全国の地裁本庁50カ所に拡大する見通し。
政府は2023年度にウェブ会議による口頭弁論、25年度に訴状のオンライン提出の実現を目指しているが、感染の再拡大を見据え一層の裁判のIT化が重要になっている。」
こちらはいつでもreadyですので、早期にIT化を実現して貰いたいものです。
例えば、4月23日に指定されていた期日が緊急事態宣言のため延期され、7月16日にようやく期日が再開したものの、次回期日は9月29日というペースでは、たまったものではありません。
まさか、これだけ休んでおきながら、例年通り、夏季休廷期間を取るという訳では、ありませんよね。
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