2020年03月03日

勤務で事故、会社に請求可 被害者への賠償で初判断 最高裁、使用者責任明示


以下は、共同通信(2020年03月02日)からの引用です。

「勤務中に人身事故を起こした従業員が自ら被害者側に賠償した後、会社などの雇用主に相応の負担を請求することができるかどうか争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第2小法廷(草野耕一(くさの・こういち)裁判長)は28日、可能との初判断を示した。

雇用主には被害者への賠償責任だけでなく、従業員に対する「使用者責任」があることも明示し、場合によっては損害の全額を負担することがあり得ると指摘した。

その上で従業員からの請求は「不可能」とした二審大阪高裁判決を破棄。

原告の従業員と被告の会社の負担割合を改めて算定させるため、審理を高裁に差し戻した。

裁判官4人全員一致の結論。

民法715条は、従業員が仕事で第三者に損害を与えた場合、雇用主が被害者に賠償した後、従業員に負担を「求償」することができると規定。

ただ従業員が先に賠償してから、雇用主に負担を求める「逆求償」は規定がなく、これまで見解が分かれていた。

第2小法廷は、雇用主が従業員の活動で利益を上げていることなどから、損害の公平分担を重視。

使用者責任を根拠に「従業員が第三者に賠償した場合、相当と認められる額を雇用主に求償することができる」とした。

原告は運送大手、福山通運(広島県福山市)のドライバーだった女性。

2010年に大阪府吹田市でトラックを運転中に死亡事故を起こし、遺族に約1500万円を支払った。

女性は同額を会社が負担すべきだとして提訴した。

一審大阪地裁判決は逆求償の権利を認め、福山通運に約840万円の支払いを命じた。

しかし二審判決は「本来は従業員が全額の責任を負うべきだ」との考え方から原告側の逆転敗訴とした。」





昨日、裁判所のホームページを見たときはまだ掲載されていなくて、裁判所も、新型コロナウィルスのせいで、色々大変なのかなと思っていましたが、いきなりホームページ全体がリニューアルしていました↓
https://www.courts.go.jp/

でもって、この判決も掲載されています↓
https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=89270

運送会社なんだから、いわゆる任意保険に加入しているだろうに、どうしてこういう訴訟になったのだろうかと思ったら、何と、任意保険に加入していなかったのですね。

補足意見で、思いっきり糾弾されています。

従業員と会社の負担割合は、再度の上告理由にはならないのだと思いますが、だからこそ、任意保険に加入していなかった会社が悪いのだから、全額会社に負担させるべきではないかという、大阪高裁に対するメッセージということですかね。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:57| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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