以下は、毎日新聞(2019年9月10日)からの引用です。
「「予備試験」通過の合格者は315人、合格率は81.82%
法務省は10日、今年の司法試験の合格者を発表した。受験者4466人(昨年比772人減)に対し、合格者は1502人(同23人減)で、いずれも新試験に完全移行した2012年以降の過去最少を更新した。合格率は33.63%(同4.52ポイント増)で過去最高となった。
合格者の平均年齢は28.9歳で、最年少は20歳、最年長は65歳だった。法科大学院を修了した合格者は1187人で合格率29.09%。一方、法科大学院を修了しなくても受験資格を得られる「予備試験」を通過した合格者は315人で合格率は81.82%となり、例年と同様に法科大学院修了者を大きく上回った。性別では男性1136人、女性366人。
法科大学院別、慶大152人と最多、東大、京大、中大、早大が100人超
法科大学院別の合格者は慶応大が152人と最多。ほかに東京大、京都大、中央大、早稲田大の4校が100人を超えた。合格率は京都大62.69%、一橋大59.82%、東京大56.30%の順だった。
法科大学院修了者のうち、法学部出身者向けの既修コース(2年間)の合格率は40.01%、法学部出身者以外が中心の未修コース(3年間)は15.64%。修了から受験資格のある5年以内に合格した割合(累積合格率)は、今回の試験が最後になる14年度修了者で60.11%(既修のみでは72.19%)に達した。
司法試験は、法科大学院創設などの司法制度改革で旧試験が廃止され、新試験が導入された。だが、新試験に完全移行した12年に8000人を超えた受験者数は減少傾向となり、今年初めて5000人を割った。政府は「10年に年間3000人程度」としていた合格者数の数値目標を15年に「1500人程度」と変更している。今年の合格者数は目標をかろうじて上回った。
合格率の低迷を背景に、法科大学院の入学志願者数は04年の制度創設以来、減少傾向にあった。だが、志願者数は今春は前年より増加し、入学者数は1862人(昨年比241人増)となった。
司法試験合格者が10人以上だった法科大学院
※カッコ内は昨年の順位
順位 法科大学院 合格者(人) 合格率(%)
1(3) 慶応大 152 50.67
2(2) 東京大 134 56.30
3(1) 京都大 126 62.69
4(5) 中央大 109 28.39
5(4) 早稲田大 106 42.06
6(6) 一橋大 67 59.82
7(8) 大阪大 46 41.07
8(7) 神戸大 44 33.85
9(11) 明治大 26 16.05
10(9) 名古屋大 25 37.31
10(13)北海道大 25 24.04
12(18)立命館大 24 21.05
13(13)首都大東京 22 22.92
14(9) 九州大 20 33.90
14(18)東北大 20 38.46
16(24)筑波大 18 23.38
17(20)創価大 16 24.62
18(26)日本大 14 14.58
18(21)広島大 14 35.90
20(29)関西大 12 17.39
20(28)関西学院大 12 19.05
20(24)千葉大 12 19.67
23(15)上智大 11 11.46
法科大学院計 1187 29.09
予備試験合格者 315 81.82
総 計 1502 33.63」
法務省の発表は↓
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00175.html
過去最少なのか、過去最高なのか、立場によって、見方は異なるでしょうね。
我々が受験した旧司法試験の時代は、合格率2%とかの超難関試験でしたが、その代わりに、合格しさえすれば、よっぽどのことがない限り、食うには困らないだろうと思っていました。
ところが、予備試験組の合格率は81.82%、既習コース組の累積合格率は72.19%とのことですので、優秀であれば予備試験からの一発合格、そうでなくても時間と費用をかければほぼ合格できる試験になりつつある一方、弁護士になったからと言って、食うには困らないとは言えない時代となりました。
もし、合格者3000人が堅持されていれば、更に食えない弁護士があふれかえり、更に司法試験を目指す人は少なくなり、しかも、予備試験がなければ、尚更、合格率は高くなったでしょうね。
得をするのは、誰でしょうか。
そう言えば、先日、法曹25周年ということで、久々に同期や教官と飲んだのですが、教官いわく、最近の修習生は、5人に1人は弁護士の子供じゃないかとのことでした。
我々の時代にも、弁護士の子供はいるにはいましたが、ごく僅かでしたが。
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