以下は、共同通信(2019年09月04日)からの引用です。
「最高裁や法務省などでつくる研究会が、民事裁判の審理を半年以内に終える特別な訴訟手続きの導入を検討していることが3日、関係者への取材で分かった。
原告が希望し、被告が同意すれば、争点を絞り込むなどして審理を迅速化する。
審理期間は3分の1ほどに短縮される見通しで、早期決着が必要な企業間紛争などに対応しやすくなるとしている。
研究会は民事裁判のIT化を検討しており、報告書を年内にまとめる方針。
来年2月の法制審議会で民事訴訟法の改正が諮問される見通しで、報告書は参考資料となる。
最高裁の統計によると、証人尋問が行われるなどし、2018年に終了した一般的な民事裁判は審理に平均16カ月かかっている。
長期の審理や結審の時期が見通せないことが課題とされている。
研究会の案によると、特別な手続きでは、訴状や準備書面などを、インターネットを通じて提出し、書面数も制限するなどして争点を絞る。
特別な事情がない限り、第1回口頭弁論から半年以内に審理を終結する。
民事訴訟法は終結から2カ月以内に判決を言い渡すとしており、第1回口頭弁論から判決までの期間も1年以内となる。
通常の手続きで審理している民事裁判も、当事者の合意などがあれば、特別な手続きに移行できる。
裁判所が相当と認めれば、逆に特別な手続きから通常の手続きに移行することもできる。
政府は、民事訴訟に関する裁判手続きの全面IT化を目指しており、オンラインでの申し立て、訴訟記録の電子化などに取り組む方針。
法制審の答申を受け、22年中の民事訴訟法改正を視野に入れている。
※民事裁判のIT化
インターネットを通じた訴状提出や争点整理、裁判記録のペーパーレス化など、裁判手続きを効率化するための制度改革。
経済界を中心に、大量の裁判記録を保管したり、裁判所に赴いたりすることが負担になるとの声が根強く、政府の有識者検討会が全面IT化を提言した。
最高裁は既に、争点整理手続きへの「ウェブ会議」導入を決定。
法改正なしに導入が可能で、裁判所と弁護士事務所をネットでつなぎ、裁判所に赴く負担を軽減することが期待されている。」
インターネットを通じて提出しようが、ファックスで提出しようが、時間的には殆ど変わらないのではないでしょうか。
もっと言えば、持参して提出しようが、郵送で提出しようが、1つの裁判を通じて、何十日も変わるものでもないと思います。
ですので、特別な手続とやらと、IT化とを、リンクする必然性はないように思いますが。
全面IT化が実現して、一番ありがたいのは、裁判所でしょうね。
膨大なファックスが送られて来ることもなくなりますし、膨大な事件記録を管理しなくても良くなりますし、当事者の主張の整理もコピペで済むようになるかも知れませんし。
我々弁護士はどうかと言えば、少なくとも私自身は、ごく一部の依頼者を除いては、メールに添付して書面を送るという訳には行きませんし、パソコンに電子データとして保管していても訳がわからなくなりそうですし、外付けハードディスクに毎日自動でバックアップはしていますが、万が一のことがあったら心配ですので、今と変わらず、印刷して紙ベースの記録を作成して、依頼者には郵送して…ということになりそうで、電子認証やら何やら、面倒臭いことが増えるだけのような気がします。
でも、2022年には民事訴訟法改正とのことですので、逃れたまま引退という訳には行かないようですね。
本人訴訟は、どうなるのでしょうか。
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