以下は、朝日新聞(2019年1月8日)からの引用です。
「強姦(ごうかん)罪などで服役中に被害証言がうそだったとわかり、再審で無罪となった男性(75)と妻が国と大阪府に計約1億4千万円の国家賠償を求めた訴訟の判決が8日、大阪地裁であり、大島雅弘裁判長は男性側の請求を棄却した。
男性側は控訴する方針。
男性は2004年と08年に当時10代の女性に自宅で性的暴行をしたとして、強姦と強制わいせつの罪で起訴された。
懲役12年とした09年の大阪地裁判決が最高裁で確定したが、服役中に女性が被害証言をうそだと告白。
女性が受診した医療機関に性的被害の痕跡はないとするカルテがあったため、男性は逮捕から6年余り後の14年11月に釈放され、15年10月に再審で無罪判決を受けた。
男性側は16年10月に提訴していた。
この日の判決は、府警や地検がこの医療機関を調べればカルテを入手でき、女性の証言の信頼性が揺らいだ可能性は否定できないと指摘。
だが、当時の捜査状況で問題のカルテを入手できた可能性を想定すべきであったとまではいえず、通常要求される捜査を怠ったとはいえないと判断した。
また、男性側が「女性がうそをつくはずがないとの思い込みで誤った判決を言い渡した」とした一審の裁判官や、カルテがあった医療機関側に対する弁護側の証人尋問請求を却下した控訴審の裁判官の判断についても、「不当、違法な目的で裁判をした」場合に責任を認めるとした最高裁判例をふまえて、違法とはいえないと結論づけた。
男性は無罪が確定した人に補償する「刑事補償法」により、約2800万円の交付を受けている。」
この事件の続報ですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/442717644.html
再審無罪による国家賠償請求に関する最高裁平成2年7月20日判決は↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52742
「再審により無罪判決が確定した場合であっても、裁判官がした裁判につき国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が認められるためには、当該裁判官が、違法又は不当な目的をもって裁判をしたなど、裁判官がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情がある場合であることを要する。」「再審により無罪判決が確定した場合であっても、公訴の提起及び追行時における各種の証拠資料を総合勘案して合理的な判断過程により有罪と認められる嫌疑があったときは、検察官の公訴の堤起及び追行は、国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為に当たらない。」という枠組みの中では、燃やした筈のシャツの袖が、証拠物から出て来たとしても、国家賠償請求は認められないのかも知れませんね。
最高裁まで行って、枠組みを変える覚悟が必要ですが、茨の道であることを、当の本人は、理解しているのでしょうか。
さて、どうなるのでしょうか。
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