以下は、朝日新聞(2018年12月11日)からの引用です。
「特殊詐欺の被害者が宅配便で送った現金をマンションの空き部屋などで受け取ったとして、詐欺罪などに問われた神奈川県相模原市の無職の男(44)の上告審判決が11日、最高裁第三小法廷であった。
二審は「宅配便の内容は分からなかった」という主張を認めて詐欺罪は無罪としたが、宮崎裕子裁判長は「詐欺にあたるかもしれないと認識しながら荷物を受け取った」としてこの判決を破棄した。
懲役4年6カ月を言い渡した一審判決が確定する。
特殊詐欺で現金を受け取る「受け子」を巡っては、他にも「何を受け取っているか分からなかった」との主張が認められ、無罪となるケースが下級審で出ている。
第三小法廷は被告が何度も荷物を受け取り、そのたびに報酬を得ていたことなどを踏まえて有罪だと結論づけており、今後の裁判に影響する可能性がある。
別の小法廷も14日、同じ争点の事件で判決を言い渡す。
判決によると、被告は2015年9月ごろに元同僚から、「空き部屋の住人を装って宅配便で届く荷物を受け取り、指示された場所まで運ぶ」ことを「仕事」として頼まれた。
埼玉や千葉、神奈川などの空き部屋で約20回、違う名前で荷物を受け取って指示された人に渡し、毎回約1万円の報酬を受け取った。
公判では「何らかの犯罪行為に加わっている認識はあったが、荷物が送られた経緯や中身は知らない」と無罪を訴えていた。
一審・鹿児島地裁は「犯罪行為に詐欺が含まれるかもしれないと認識していた」として詐欺罪の成立を認めたが、二審・福岡高裁宮崎支部は、空き部屋を受け渡し場所として悪用する手口が広く知られていないと判断。
中身が詐取金と知らなかった可能性を認め、詐欺について無罪とした。
第三小法廷は宅配便で空き部屋に送らせるのは特殊詐欺の新しい手口であるものの、「役割分担して他人になりすまし、だまし取る点は従来型と変わらない」と指摘。
「手口が社会的に知られているかどうかにかかわらず、受領行為が詐欺にあたる可能性を認識していたと強く推認できる」とした。
「荷物の中身は拳銃や薬物だと思っていた」とする男性の供述についても、荷物の中身を確認したわけではないとし「詐欺の可能性がある、という認識を排除する事情は見当たらない」として退けた。
元刑事裁判官の門野博弁護士は「事実関係に即し、詐欺の故意を認定した適切な判断だ。受領行為の態様や回数、報酬などの要素は他の事件でも参考になるだろう」と話した。
一方、特殊詐欺にはそれぞれ違う事情があるとし「機械的な当てはめは危険。本当に詐欺の認識がない人が処罰されないよう、今後も慎重な捜査が必要だ」と指摘した。」
早速、裁判所のホームページに掲載されていますね↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=88179
詐欺の未必の故意を認めるのは、おかしくないとは思いますが、回数を考慮するのは、どうなんですかね。
1回とかだと、未必の故意がなくて、無罪になっちゃうのですかね。
であれば、何度も繰り返すと、遡って1回目も未必の故意があったということになるのも、何かおかしな話ではないですかね。
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