以下は、毎日新聞(2018年5月18日)からの引用です。
「裁判官や検察官、弁護士を志す法学部の学生は3年で卒業−−。政府・与党は、司法試験の受験資格取得期間を短縮するため、法曹教育の大胆な見直しに着手した。背景には、法科大学院の淘汰(とうた)が進み、一連の司法試験改革は失敗だったという批判が広がることへの危機感がある。
司法試験を受験するには、法科大学院を修了するか、修了しなくても受験資格を得られる予備試験に合格しなければならない。大学と法科大学院既修者コース(2年)で最短6年かかるため、年齢制限がなく時間的、経済的な負担も軽い予備試験に人気が集まっている。
法務、文部科学両省によると司法試験合格者に占める予備試験受験者の割合は2012年の2.8%から17年は18.8%に急増した。対照的に法科大学院では経営難による募集停止や閉鎖が続出。05年度には74校あったのに今年度の学生を募集したのは39校だった。こうした中、文科省は2月、法科大学院の改善案を中央教育審議会の特別委員会に示した。法学部進学者が学部を3年、法科大学院を2年の計5年で終える「法曹コース」の新設はその一つだ。
「法曹養成制度に関する与党検討会」も呼応した。メンバーは自民党の河村建夫元文科相、金田勝年前法相、弁護士でもある公明党の大口善徳国対委員長ら。4月にまとめた緊急施策で、法曹コース導入に向けた学校教育法改正に加え、優秀な法科大学院生は在学中に予備試験なしで司法試験の受験を認めることも打ち出した。法務、文科両省と最高裁判所は現在、法改正の具体的な検討を進めている。法科大学院のない大学でも法曹コースの新設を可能にし、地方の学生に配慮する方向だ。政府・与党は秋の臨時国会で改正案を成立させ、19年度の導入を目指す。
今でも早稲田大や明治大などは優秀な法学部生に3年次の卒業を認めている。ただ、「飛び級」は例外的措置。政府・与党はこれを制度化し、「法科大学院離れ」に歯止めをかけたい考えだ。
法科大学院は法律家としての判断力や倫理を養うために設置された。ところが、予備試験が「抜け道」になり知識偏重の是正という改革の趣旨は揺らいでいる。与党関係者は「司法試験合格者の中にも、早くに予備試験をパスした方が、法科大学院修了者より優秀だという意識を持つ人がいると聞く。法科大学院が魅力を取り戻さなければ改革そのものが問われる」と指摘する。 」
法科大学院の淘汰が進み、一連の司法試験改革は失敗だったという批判が広がることへの危機感、ですか。
誰のための、何のための、司法改革だったのでしょうか。
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