2018年02月09日

1票の格差 違憲状態判決「奇跡に近い」


以下は、毎日新聞(2018年2月7日)からの引用です。

「昨年の衆院選小選挙区の「1票の格差」を巡る一連の訴訟で、名古屋高裁が7日、区割りを「違憲状態」と初めて判断した。原告側の弁護士グループは判決後の記者会見で「司法が役割を果たした」と評価した。


一連の訴訟は二つの弁護士グループが全国で16件起こした。今回は11件目の判決で、升永英俊弁護士のグループが提訴していた。

名古屋市内で記者会見した升永弁護士は、違憲状態判決を「奇跡に近い」と表現した。これまで10件の判決は、区割りで人口比をより正確に反映できる「アダムズ方式」の導入を国会が決めた点を評価して「合憲」としていた。升永弁護士は「昨年の衆院選はアダムズ方式への過渡期ではあるが、実際に格差はあった以上、違憲だということを判決は明確にした」と話した。

伊藤真弁護士も「政治に過度な配慮やそんたくをすることなく、司法がその役割を果たした」と述べた。その上で「地方でも1票の価値が低い所があり、都市と地方の問題で考えてはいけない。日本のどこに住んでいても『1人1票』を持たなくては」と強調した。

また、浜島将周弁護士は「(都道府県にまず1議席ずつ配分する)1人別枠方式の影響が残っていると判断されたことは評価する。上告しないことで、この判決を確定させる考えもある」と話した。

国会の姿勢、疑問視

これまでの「合憲」判決は昨年衆院選が最大格差1.98倍と「2倍未満」を初めて実現した点を評価した。名古屋高裁判決は逆に「切ってはいるものの極めて2倍に近い」と負の評価をして「違憲状態」と結論した。国会の努力は不十分との認識をにじませた。

名古屋高裁は判決文で、重ねられた最高裁判決が「憲法上、議員1人当たりの有権者数ができる限り平等に保たれることを最重要の基準とすることが求められる」とした点を挙げ、「できる限り」に傍点を付けて強調し、「最大格差の数値を画一的な判断基準としていない」とした。

国会がアダムズ方式の導入を決めながら、選挙制度の安定性などを理由に区割り作業を先送りしたことにも言及し「その理由は、投票価値の平等の判断にさしたる意味を持たない」と突き放した。また、違憲状態判断をした2011年の最高裁判決以降、6年余の間に制度改正を重ねながら1人別枠方式が完全に廃止されていないとして、「国会に最高裁判決を尊重する意思があったか疑問が生じる」とも指摘した。

16件の訴訟のうち半数を超える10件が合憲となる中、今回の判決は一石を投じる形となった。残り5件の判決が出そろった後、最高裁が統一判断を示すことになる。

行政敗訴判決、度々出し注目…藤山裁判長

担当した藤山雅行裁判長は名古屋家裁所長などを経て、2015年から名古屋高裁部総括判事を務める。

東京地裁時代は裁判長として行政訴訟や医療訴訟を担当し、行政敗訴の判決を度々出して注目された。工事中の公共事業で初めて、小田急線高架化の国の事業認可を取り消す判決(01年)▽東京都の外形標準課税(銀行税)を無効とする判決(02年)▽騒音を理由に首都圏中央連絡自動車道の国の事業認定を取り消す判決(04年)−−などがある。

現在64歳で4月に定年を迎える。」




意見無効だとして訴え提起した弁護団が、「奇跡に近い」と表現するほどの思い切った判決ですが、もうすぐ定年退官なのですね。

そうでもなければ、裁判官は、自分の信念を貫くことができないものなのでしょうかね。

2割程度(2倍程度ではありません)以上の一票の価値の格差が生ずるような選挙制度は、法の下の平等の規定に反し、違憲かつ無効であるという意見の最高裁の裁判官もいるのですが↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/453936057.html

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posted by 森越 壮史郎 at 12:39| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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