以下は、産経ニュース(2018.1.9)からの引用です。
「日本人同士の結婚で夫婦別姓を選択できないのは憲法に違反するとして、ソフトウエア開発会社「イボウズ」(東京)の青野慶久社長(46)ら4人が9日、国を相手取り、計220万円の損害賠償を求める訴えを東京地裁に起こした。
訴状などによると、日本人同士の結婚では別姓を選択できないのに対し、日本人同士の離婚や、日本人と外国人が結婚・離婚する場合は、戸籍法の規定で別姓を選択することもできる。
原告側は、「日本人同士の結婚の場合だけ戸籍法上の手当てが設けられていないのは法の欠陥で、憲法違反」と主張している。
青野社長は平成13年に結婚し妻の姓を選択したが、仕事などでは旧姓「青野」を通称として使用している。
しかし保有株式の名義変更のために手数料が約81万円発生したほか、公式文書は戸籍名を使用する必要があるため同社の株主が混乱するなどし、「効率的な経済活動を阻害する」としている。
東京・霞が関の司法記者クラブで記者会見した代理人の作花知志弁護士は、「日本人同士の結婚でも姓を選択できる規定を戸籍法に設け、氏の問題で不都合が生じないようケアするべきだ」と述べ、青野社長は「旧姓に法的根拠を与えることでたくさんの方々が救われると思う」と話した。
ほかの原告は神奈川県の20代女性と東京都の事実婚の20代男女。
夫婦同姓を定めた民法の規定をめぐっては、最高裁が27年に合憲と判断している。」
以前、提訴するという報道があり、ブログで取り上げたと思っていましたが、気のせいだったようです。
夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲と判断した平成27年12月26日の最高裁判決については↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/431526134.html
今回の提訴は、民法ではなく、戸籍法が違憲ということのようですが、実体法である民法が夫婦同姓を定めている以上、手続法である戸籍法が夫婦別姓を認めていないのは、当然の帰結ではないでしょうか。
と思ったら、以下は、朝日新聞デジタル(2018年1月9日)からの引用です。
旧姓使用の最高裁判事が就任 ホテル宿泊拒まれた経験も
「9日付で最高裁長官に就任した大谷直人氏(65)と、最高裁判事に就任した前東京高裁長官の深山卓也氏(63)、弁護士の宮崎裕子氏(66)が9日、会見を開き、それぞれ抱負を語った。
大谷氏は「国民から身近な存在として、信頼される裁判所の実現に全力を傾けたい」と述べた。
国際的な紛争に対応するため、研修や人的交流を充実させることや、来年で10年目を迎える裁判員制度の検証を進める考えも示した。
大谷氏の後任の深山氏は法務省勤務が長く、「法律を見る視点が豊富になった。法律を作る側の経験を生かしたい」と述べた。
9日付で就任した弁護士出身の宮崎裕子氏(66)は最高裁判事で初めて旧姓を使用する。
女性の最高裁判事は6人目。
就任会見で「弁護士として使ってきた名前を、判事としても使い続けるのは当然。価値観は多様化しており、可能な限り、選択肢を用意することが大切だ」と語った。
父も裁判官で「資格がなければ、女性は就職しづらい」と高校生のころから裁判官を志した。
東大を卒業した1976年に司法試験に合格。
司法修習時代に現在の夫と出会い、結婚することを決めた。
裁判官は転勤が多いため「別居したくない」と、弁護士へ進路を変更。
旧姓で弁護士登録をしてから、婚姻を届け出た。
大学生のころに聞いた女性の先輩の苦労話が理由だ。
「旧姓で書いた論文が結婚後、(改姓したら)自分の研究成果と評価されず、研究機関に採用されなかった」。
旧姓を使い続けることはその時から決めていた。
だが、法律上と職業上の姓が違うため、海外のホテルで宿泊を拒まれた経験もある。
「男女の肉体的な違いは認めるべきだが、違いがない部分では公平に働ける環境作りが重要。抜本的に変わってほしい」。
最高裁の裁判官15人のうち女性は3人。
「法曹人口に占める女性の割合はもっと多いはず。最高裁の女性判事の割合も上げていく方がいい」と話した。
同じ弁護士出身で1日付で定年を迎えた木内道祥氏(70)の後任。
日本弁護士連合会が最高裁に推薦した9人のうちの1人だった。」
女性側からの訴えに対して、夫婦同姓を定めた民法の規定を合憲と判断した平成27年12月26日の最高裁判決では、3人の女性裁判官全員を含む5人の裁判官は違憲、残り10人の男性裁判官は合憲。
今回は、男性側からの訴えですが、だからと言って、結論は変わるのでしょうか。
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