2017年12月19日

「だまされたふり作戦」で詐欺未遂罪成立 最高裁初判断


以下は、朝日新聞デジタル(2017年12月14日)からの引用です。

「電話などで言葉巧みに現金をだまし取ろうとする特殊詐欺の捜査で、被害者が警察に協力し、容疑者からの電話に引っかかったふりをして逮捕に結びつける「だまされたふり作戦」。

この手法の是非が争われた裁判で、最高裁第三小法廷(山崎敏充裁判長)は、手法に問題はなく、詐欺未遂罪が成立するとの初判断を11日付の決定で示した。

神奈川県警が2009年に始め、全国へ広まった手法だが、裁判所によっては「被害者は実際にはだまされていない」として無罪判決も出ていた。

今回も一審は無罪、二審は有罪と結論が分かれていた。

決定によると、福岡県大野城市の女性は15年、氏名不詳者から電話で「ロト6が必ず当たる特別抽選に参加できる」と言われ、現金120万円を要求された。

警察に相談し、だまされたふりをして現金の入っていない箱を送ったところ、箱を受け取った兵庫県尼崎市の男(36)が逮捕された。

第三小法廷は、電話でだます行為も荷物を受け取る行為も一連の詐欺行為だと指摘。

詐欺と認識しながら荷物を受け取れば、中に現金が入っていなくても、受け取り役の刑事責任を問えると結論づけた。

昨年9月の一審・福岡地裁は「被害者がだまされたと気づき、警察に協力するために送った箱を受け取ったとしても、詐欺行為にはあたらない」として無罪判決を言い渡した。

一方、今年5月の二審・福岡高裁は「だまされたふり作戦」と認識せずに箱を受け取った行為は、外形的には詐欺の危険性があったとみなせると判断。一審を破棄し、懲役3年執行猶予5年の逆転有罪判決とした。

警察庁によると、今年1〜6月(速報値)に特殊詐欺事件で1080人を検挙したうち、半数近い507人は「だまされたふり作戦」が検挙のきっかけだった。

前年の同じ時期に比べ、25人増えた。

警察庁は当初から、ホームページで作戦への協力を呼びかけてきた。

「かぜをひいて声がおかしい」「携帯電話の番号が変わった」など、不審な電話がかかってきたら、だまされたふりを続け、電話を切った後、すぐ警察へ通報するよう求めている。

最高裁の判断について、甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)は「殺意をもってピストルの引き金を引けば、弾がなく、人が死ぬ可能性はなくても殺人未遂罪は成立する。最高裁は『だまされたふり作戦』についても同じ考え方に立ち、被害者から送られた荷物を受け取れば、現金が入っていなくても、外形的な経過から詐欺未遂罪は成立すると判断した」と説明する。

園田教授は「無罪判決もあるなか、最高裁からお墨付きを得られたことで、特殊詐欺の摘発を進める捜査現場には追い風になるだろう」とみている。」




高裁判決には気が付きませんでしたが、この記事の前者の事件の続報のようですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/442265638.html

早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87302

「被告人は、本件詐欺につき、共犯者による本件欺罔行為がされた後、だまされたふり作戦が開始されたことを認識せずに、共犯者らと共謀の上、本件詐欺を完遂する上で本件欺罔行為と一体のものとして予定されていた本件受領行為に関与している。そうすると、だまされたふり作戦の開始いかんにかかわらず、被告人は、その加功前の本件欺罔行為の点も含めた本件詐欺につき、詐欺未遂の共同正犯としての責任を負うと解するのが相当である。」とのことですが、単に、責任を負うのが相当だから相当と言っているだけで、余り論理的ではないように思います。

甲南大法科大学院の園田寿教授(刑法)によると、「殺意をもってピストルの引き金を引けば、弾がなく、人が死ぬ可能性はなくても殺人未遂罪は成立する。最高裁は『だまされたふり作戦』についても同じ考え方に立ち、被害者から送られた荷物を受け取れば、現金が入っていなくても、外形的な経過から詐欺未遂罪は成立すると判断した」」とのことですが、最高裁の上記判示は、不能犯云々というよりかは、継承的共同正犯的な発想のように思います。

ただ、最高裁からお墨付きを得られたことは、間違いありません。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:51| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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