以下は、北海道新聞(2017/12/10)からの引用です。
集団予防接種が原因でウイルス感染したとして原告患者らが国の責任を問うB型肝炎訴訟で、損害賠償の請求権を制限する民法の規定(除斥期間)が患者救済の壁となっている。
最初の発症時を起点に、20年を超すと消滅するが、これに伴い、B型肝炎救済法では国が患者に支払う給付金が大幅に減額される。
20年以上前に発症し、一時治まった後に再発した男性患者2人が国を訴えた福岡訴訟は11日、福岡地裁(片山昭人裁判長)が判決で初めて司法判断を示す。
原告患者らの救済範囲が広がるのか、道内関係者も注目する。
救済法はB型肝炎に伴う慢性肝炎や肝硬変、肝がんなど病態に応じて給付金の支給額を設定する。
福岡訴訟の福岡市の原告男性(59)は1987年に29歳で慢性肝炎を発症。
数年後に沈静化したが、2008年に49歳で再発した。
給付金は国を訴え、和解すると受けられる。
慢性肝炎では、提訴が発症後20年以内なら一律1250万円だが、20年を超すと150万円か300万円に減る。
男性の提訴は08年で発症後21年が経過。
「1年の差で、これほど開くのは納得できない」として、再発時を起点にすべきだとする。
沈静化した肝炎の再発率は10〜20%とされ、原告側は「いつ再発するか分からない。発症時を起点にしたため再発時や提訴時に賠償請求権が消滅しているのはおかしい」と主張。
国側は「発症も再発も慢性肝炎の一連の症状。発症時を起点とすべきだ」と反論する。
原告側弁護団長の小宮和彦弁護士(福岡)は「長期間、苦しんだ人ほど不利益を被るような差をつけるのは不合理だ」と指摘する。
男性は病で結婚をためらった。
再発時はショックでうつ病になり、休職に追い込まれた。
「感染がなければ人生が変わっていたかもしれない。せめて他の患者と平等にして」と訴える。
国は、B型肝炎ウイルスの感染者数を40万人超と推計。
福岡訴訟の判決は全国で100人以上の原告患者らに影響するとみられ、道内でも原告約20人が注目。
B型肝炎患者に救済の道を開いた北海道訴訟団と全国弁護団で事務局長を務める奥泉尚洋(たかひろ)弁護士(札幌)は「再発時を起点に損害賠償請求権を認める司法判断が出れば、救済の枠組みを広げられる」と期待する。
<ことば>B型肝炎訴訟
集団予防接種で注射器を使い回してウイルスに感染したとして、感染者らが国に損害賠償を求めた訴訟。
1989年に道内の5人が札幌地裁へ提訴し、2006年に最高裁が国の責任を認めた。
厚生労働省が全面救済を拒否し、08年に感染者らが全国で一斉に提訴。
全国原告団と国は11年、札幌地裁の和解案に沿って国が一律に給付金を支払う基本合意を結び、給付金の枠組みを定めたB型肝炎救済法が成立した。
発症から20年を超す患者は、11年合意で慢性肝炎のみだったが、15年に肝がんと肝硬変に拡大された。」
いよいよ午後から判決言渡しですが、どちらに転んでも、最高裁まで行くことになるのでしょうから、解決までには、まだまだ年月がかかります。
しかも、病態の変化は人によって様々なので、本件に関する判断が、一律に適用されるとは限りません。
発症から20年を経過していなければ、除斥の問題で苦しむことはありません。
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