2017年12月05日

強制わいせつ罪成立に性的意図「不要」 最高裁が初判断


以下は、朝日新聞デジタル(2017年11月29日)からの引用です。

「強制わいせつ罪の成立に「性欲を満たす意図」が必要かが争われた刑事裁判の判決で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は29日、性的意図を「必要」とした最高裁判例を47年ぶりに変更し、「一律に必要とするのは不相当」との初判断を示した。

今後は性欲を満足させる考えがなくても、性的自由を侵害する行為であれば同罪に問われる。

性犯罪の厳罰化を求める社会の受け止めの変化を考慮し、被害者保護を重視した変更だ。

15人の裁判官全員一致の意見。

審理されていたのは、2015年に13歳未満の少女にわいせつな行為をして写真を撮ったとして、強制わいせつ罪などに問われた山梨県在住の無職の男性被告(40)の事件。

最高裁は同罪の成立を認め、一・二審の実刑判決を支持。判例違反を訴えた被告の上告を棄却した。

強制わいせつ罪を巡っては、最高裁は1970年、報復目的で女性の裸の写真を撮影した被告について「性欲を満足させる意図が必要」と罪の成立を認めず、判例となっていた。

この日の判決は「今日では、被害者の受けた被害内容や程度に目を向けるべきで、70年の判例に正当性は見いだしにくい」と述べた。」




この事件の続報ですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/450706594.html

当然、最高裁のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=87256

15人全員一致による判例変更ですが、「行為者の目的等の主観的事情を判断要素として考慮すべき場合があり得る」けれども、「故意以外の行為者の性的意図を一律に強制わいせつ罪の成立要件とすることは相当ではない」って、何か歯切れが悪いですね。

弁護人側の主張に配慮したということでしょうか。

それとも、過去の最高裁判決に対する敬意みたいなものでしょうか。

事案としては、せいぜい、被害者を裸にして写真を撮ったという1970年の最高裁判決↓の事案に毛が生えたくらいのものだと思っていましたが、判決文によると、「被害者に対して、被告人の陰茎を触らせ、口にくわえさせ、被害者の陰部を触るなどのわいせつな行為をした」とのこと。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50924

これだけのことをしているのに、被告人に性的意図があったと認定するには合意的な疑いが残るという1審・2審の判決は、どうなんでしょうかね。

金銭目的と性的意図とは、二律背反の関係にある訳ではないのですから、仮に金銭目的があったとしても、性的意図があったと認定するのに、充分以上のことをやっていると思うのですが。

問題の写真を見たら、元気じゃなかったから、合理的な疑いが残るということなのですかね。

それもどうかと思いますが。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:47| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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