2017年11月27日

法科大学院入学、未修者3割枠撤廃へ 志願者が激減


以下は、朝日新聞デジタル(2017年11月24日)からの引用です。

「文部科学省は、法科大学院の入学者の3割以上を、法学部などを卒業していない「未修者」とする基準を撤廃する方針を決めた。

各大学院の2019年度入試から適用される。

法科大学院の志願者が減るなか、3割を確保するために水準の低い学生を入学させていることが、司法試験の合格率低下につながっているという指摘もあり、方針を転換する。

法科大学院は「社会人など多様な人材を法曹に呼び込み、質・量ともに豊かな法律家を育てる」という司法制度改革の理念を受けて、04年度に始まった。

こうした多様な人材を集めるため、文科省は03年に「未修者を入学者の3割以上とする」と告示した。

だが、法科大学院を修了した人の司法試験合格率は当初想定された7、8割に遠く及ばず、最近は2割台と低迷。

特に未修者コースは、標準の3年で修了できる人が約半数にとどまり、今年の司法試験合格率は約12%だった。

このため未修者の志願者が激減し、「3割以上」が大学院の実態にあわなくなっていた。

中央教育審議会はこの春から、法科大学院を扱う特別委員会などで、こうした問題について検討。

22日の特別委で文科省が「3割」の基準を撤廃する方針を示し、おおむね了承された。

ただ、「多様な人材の確保は維持すべきだ」との意見も出ており、文科省は各大学院に対し、優秀な未修者を集める努力の継続を求める。

担当者は「未修者の質を確保し、司法試験の合格率上昇につなげたい。多様な人材を法曹界に送り出す、司法制度改革の理念に基づく対応だ」と話す。

文科省は法学部を卒業した「既修者」の志願者数の減少にも対応しようと、法学部と法科大学院を計5年で修了する「法曹コース」(仮称)も導入する方針だ。

現在は法学部で4年、大学院で2年学ぶ形が一般的だが、時間的・経済的な負担が大きく、法科大学院を修了しなくても司法試験の受験資格を得られる「予備試験」に流れる学生も増えている。

現在も、飛び入学制度などがある大学では法学部で3年学んでから法科大学院に進む人がいるが、「きわめて優秀な学生」による例外的なケースという。

法曹コースでは、法科大学院と連携する法学部が、3年で卒業することを前提としたカリキュラムを作れるようにする。

〈法科大学院〉

法曹人口の増加などを柱とした司法制度改革の一環で、修了すると司法試験を受験できる大学院として2004年度に始まった。

法学部などで法学を学んだ人は「既修者コース」(2年)へ進むことができ、社会人らを受け入れる「未修者コース」(3年)もある。

当初は修了者の7、8割が司法試験に合格すると想定されていたが、最近の合格率は2割台となっている。」




知りませんでしたが、今でも、予備試験以外にも、飛び入学制度という近道のがあるのですね。

法科大学院よりも人気があるとはいっても、予備試験は合格率4%程の狭き門ですから↓、通常の大学4年間にプラス1年間で司法試験の受験資格を得られる法曹コースは、魅力がありますね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/454872679.html

今年の司法試験の合格率は、法科大学院修了者が22・51%だったのに対し、予備試験合格者は72・50%と3倍以上の合格率↑、予備試験に合格できていなくても、法科大学院修了者以上に優秀な人、すなわち法曹コースが相応しいは沢山いる訳で、司法試験の合格率も、通常コースの法科大学院修了者以上の合格率となりそうですね。

というか、予備試験は、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とする試験なのですから(司法試験法5条1項)、予備試験合格者の司法試験の合格率が、法科大学修了者の合格率を大きく上回ること自体が、おかしな話なのですが。

さて、これで、極めて優秀な人は、時間とお金をかけることなく、予備試験経由で司法試験に合格して、法曹になれる。

そこそこ優秀な人は、1年間だけ余計な時間とお金をかけて、法曹コース経由で司法試験に合格して、法曹になれる。

それほど優秀ではない人でも、2〜3年間の時間とお金をかけて、通常の法科大学院経由で、合格率は低いながらも、5回のチャンスを生かすことができれば、司法試験に合格して、法曹になれる。

一発勝負の旧司法試験と比べれば、法曹になるための多様な選択肢は、確保されましたね。

得をしたのは、誰でしょうか。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:56| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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