以下は、北海道新聞(2017/10/28)からの引用です。
「国選弁護人として被疑者の釈放に同行したのに、行きの交通費しか支給しないのは不当として、札幌市南区の弁護士が日本司法支援センター(法テラス、東京)に対し、空知管内栗山町―札幌間の片道分交通費7850円の支払いを求めて提訴した。
第1回口頭弁論が27日、札幌地裁(岡山忠広裁判長)であり、法テラス側は請求棄却を求めた。
原告弁護団によると、国選弁護人の遠距離交通費を巡る提訴は珍しい。
国選弁護人は各地の法テラスが指名し、報酬や費用の算定、支払いも行う。
訴状によると、弁護士は1月、国選弁護を担当する傷害事件被疑者の釈放に際し、勾留中の栗山署まで迎えに行き、札幌の受け入れ施設まで送った。
検察官から釈放の条件として施設までの同行を求められたためだが、法テラス札幌は「被疑者の釈放で国選は終了する」などとして、釈放後の移動で使った帰りのタクシー代とJR運賃を支払わなかったとしている。
原告弁護団で、札幌弁護士会の日本司法支援センター運営等対策委の奥田真与(まさとも)弁護士は「釈放で形式的に国選は終わったとしても、常識的に考えれば帰路も活動の一環。これでは国選弁護に熱心な弁護士ほど赤字になり、やる気を損ないかねない」と懸念する。
法テラスは「コメントする予定はない」としている。」
法テラスの決定に対しては、不服申立ができることになっているのですが、不服申立をしたけれども、認められなかったので、今回の提訴に至ったということでしょうね。
私は、国選弁護に熱心な弁護士ではありませんが、即決裁判と言って、第1回公判で直ぐに執行猶予付きの判決が出て釈放される事件で、第1回前に保釈申請をして保釈が認められたにもかかわらず、1円の加算もなく、愕然としたことがあります。
確か、勾留が長びくと、職を失いかねないから、急いで保釈申請したんだったと思いますが。
将来の規定の改正につながればと思い、不服申立はしたものの、確か、「加算する規定がないから」という理由で、当然のように、認められませんでしたが、さすがに、提訴までは考えませんでしたね。
法テラスが出来る前は、その事件を担当した刑事裁判官が、国選弁護人の費用も定めることになっており、ある意味、いい加減なさじ加減で報酬を定めていたのですが、法テラスになってからの国選弁護の報酬基準は全くもって杓子定規で、若い弁護士と話すと、「起訴前の面会は1回〇万円加算、でも〇回以上だと…」ということになり、嘆かわしい気分になります。
さて、どうなるのでしょうか。
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