2017年10月25日

強制わいせつ罪に意図は必要? 最高裁、年内にも判断へ


以下は、朝日新聞デジタル(2017年10月18日)からの引用です。

「強制わいせつ罪の成立に「性欲を満たす意図」が必要かが争われた刑事裁判で、最高裁大法廷(裁判長・寺田逸郎長官)は18日、検察、弁護側双方の意見を聞く弁論を開いた。

最高裁は年内にも判断を示す見通し。

大法廷は判例変更などの場合に開かれており、「意図が必要」としてきた最高裁判例が変更される可能性がある。

一、二審判決によると、山梨県内の無職の男性被告(40)は2015年、13歳未満の少女にわいせつな行為をしてスマートフォンで撮影したとして、強制わいせつ罪で起訴された。

同罪をめぐっては、最高裁が1970年、報復目的で女性を裸にして写真を撮影した事件で「強制わいせつ罪の成立には、性欲を満足させる意図が必要」とし、同罪は成立しないと判断した。

弁護側はこの判例を踏まえ、「知人から金を借りる条件として撮影を要求された。性的意図はない」と無罪を訴えた。

この日の弁論で、弁護側は「性的な意図が不要になれば、医療行為や育児、介護行為も処罰対象になりかねない」と述べ、判例を変更する必要はないと主張した。

一方、検察側は上告を棄却するよう求めた。

16年3月の一審・神戸地裁判決は、性欲を満たす意図がなくても「被害者の性的自由が侵され、被告がそれを認識していれば、罪は成立する。判例は相当でない」として罪の成立を認め、実刑を言い渡した。

同年10月の二審・大阪高裁判決も「判例の判断基準を現時点で維持するのは相当ではない」として、一審判決を支持したため、弁護側は「判例違反だ」として上告した。」




この事件の続報ですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/452080515.html

わざわざ大法廷に回付して、弁論を開くのですから、判例が変更されるのは間違いないでしょうね。

1970年の最高裁判決は↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=50924

この時ですら3対2の僅差だったようで、学説の反対も強いようです。

加害者に性的意図があろうがなかろうが、被害者の性的自由を侵害することには変わりがないのに、強制わいせつ罪の法定刑が6か月以上10年以下(当時は7年以下)の懲役なのに対して(刑法176条)、強要罪の法定刑は3年以下(当時も同じ)の懲役でしかなく、著しく均衡を欠くのではないか、しかも、性犯罪の厳罰化が叫ばれているこの時代に、ということのようです。

どちらが妥当なのかは、良く分かりませんが、刑法35条は、「法令又は正当な業務による行為は、罰しない。」と定めていますので、医療行為や育児、介護行為などは、それが本来の目的で行われている限りでは、処罰対象にはならないのではないでしょうか。

さて、どうなるのでしょうか。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:36| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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