以下は、朝日新聞デジタル(2017年10月6日)からの引用です。
「東京地裁が3月に大麻を所持した罪で懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を出した男性について、東京地検が「同種事件に比べ、量刑が重すぎた」とする異例の理由で控訴していたことが5日、関係者の話でわかった。
東京高裁は6月に一審判決を破棄し、懲役6カ月執行猶予3年に減刑する判決を出し、確定した。
検察関係者によると、男性は東京都大田区の路上で、大麻2・4グラムを所持していたとして、大麻取締法違反の罪で起訴された。
初犯だったが、地検は公判で懲役1年6カ月を求刑し、地裁が懲役1年6カ月執行猶予3年の判決を出した。
判決後、地検内部の会議で量刑の重さが問題になり、同種事件の量刑傾向を調べて控訴を決めたという。
大麻の違法所持は法定の最高刑が5年だが、検察幹部は「同種事件だと求刑は懲役6〜10カ月が一つの基準になる」と話した。
東京地検の山上秀明次席検事は「量刑が不当だったため控訴を申し立て、是正されたものと承知している」とコメントした。
元東京高裁判事の門野博弁護士は「執行猶予が付き、裁判官も弁護士も検察官の求刑通りで構わないと思い、量刑への感度が鈍ったのではないか」と指摘。
「求刑した検察官だけでなく、それに気付かなかった裁判官、弁護士も問題で、一つ一つの事件に真摯(しんし)に向き合うべきだ」と話した。」
大麻の量にもよると思いますが、初犯で、微量の所持であれば、起訴猶予になる可能性もありますので、1年6月は確かに重いですね。
ただ、検察官の求刑意見は、公判の最後の段階で初めて出てくるものなので、弁護人としては事前にチェックすることができません。
本件のように、執行猶予が相当だろうと思われる事件では、検察官の求刑意見の直後にしなければならず、事前に用意している弁護人の弁論は、「今回に限り寛大な執行猶予付きの判決をお願いします。」というのが、普通ではないでしょうか。
ですので、弁護人を余り責めることはできないと思います。
求刑意見を述べるのは検察官ですが、最終的に判断するのは裁判官、検察官の求刑意見に拘束される訳ではありません。
ところで、検察庁には決裁制度があって、起訴するのか不起訴にするのか、起訴するのであれば起訴状の内容、そして求刑に至るまで、複数の上司の決裁を仰いでいるものだと思っていましたが、求刑については、必ずしもそうではないのですかね。
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