以下は、札幌弁護士会のホームページ↓からの引用です。
http://satsuben.or.jp/info/statement/2017/09.html
「2017(平成29)年9月12日、本年度司法試験の最終合格者数が1543人と発表されました。前年度に比べ40人が減少したことになります。
政府の法曹養成制度改革推進会議は、2015(平成27)年6月30日、法曹人口の在り方について検討結果を取りまとめ、「司法試験合格者数でいえば、(中略)1500人程度は輩出されるよう、必要な取組を進め」るべきとしており、本年度の最終合格者数もこの設定目標に近接した人数となっています。
しかしながら、前年度における司法試験受験者数は6899人、最終合格者数は1583人のため、その倍率は4.36倍であったのに対し、本件度司法試験受験者数は5967人(前年度比932名減)であるため、その倍率は3.87倍となります。このように、前年度との対比で受験者数が15パーセント近く減少しながら、最終合格者数がほとんど減員されることなく、むしろ倍率が下降したという結果は、1500人程度の司法試験合格者輩出という設定目標を優先したとの懸念が生じます。仮にそうだとするなら、上記取りまとめにおける「輩出される法曹の質の確保」という留意事項に照らしても、極めて問題であると言わざるを得ません。
そもそも、長年にわたり裁判官及び検察官の採用人数が抑制されている現状では、司法試験合格者の大多数は、弁護士登録を申請することとなります。弁護士人口は10年前の2007(平成19)年3月31日時点では2万3119人であったものが、本年7月1日時点では3万8939人となっており(2016(平成28)年3月31日時点に比べても1253人が増加)、依然として弁護士増加のペースが急激であることに変わりはありません。
これに対して、裁判所の民事事件新受件数は、2009(平成21)年をピークに現在に至るまで減少の一途であり、現時点でこれが増加する見込みは乏しい状況にあります。このように、上記のとおり弁護士人口増加のペースはほぼ変わらず急激であるため、法的需要に対する弁護士の供給過多は依然として是正されておらず、これに起因する司法修習生の就職難やOJT(onthe job training)不足も解消されたとは言えません。
当会は、2011(平成23)年11月29日開催の臨時総会において、弁護士人口の急増が現状の法的需要を上回り、司法修習生の就職難や弁護士としてのOJT不足により、法律実務家として必要な技能や倫理を十分に会得していない弁護士が社会に大量に送り出されるおそれなど様々な弊害が生じている状況を指摘のうえ、政府に対し、年間1000人程度を目標に司法試験合格者数を段階的に減少させ、その実施状況等を検証しつつ、さらに適正な合格者数を検討することを求める決議を採択しています。現在でも、かかる弊害を解消し、法曹制度の崩壊を防ぐためには、上記決議の実現が不可欠です。
そこで、当会は、引き続き、政府に対し、司法試験合格者を直ちに減員するよう強く求めます。
2017(平成29)年9月13日
札幌弁護士会
会長 大川 哲也」
旧司法試験制度の合格者数が数百人の時代には、確かA〜Gまでの7段階評価で、総合Aでも不合格となる人もいて、そんな中で、毎年、しのぎを削っていた訳ですが、今は、昔で言えば総合BとかCでもどんどん合格して行き、修習期間も2年間だったのが、1年間で一丁あがりとなる訳ですから、今更、輩出される法曹の質の確保を強調したところで、余り意味がないように思います。
まあ、昔は、弁護士登録した後は、一定の給料をもらって事務所の事件をやるイソ弁(居候弁護士)になるのが殆どで、一定の給料はなくても事務所に置かせて貰うノキ弁(軒先弁護士)というのは少数でしたが、今は、弁護士が増えすぎて、受け入れ先がなかなか見つからず、ノキ弁どころか、即独(弁護士登録して即独立)せざるを得ないという話も聞きますので、就職難やOJT不足は明らかですが。
端的に、弁護士急増により、貧すれば鈍することは、市民にとってもマイナス、とは言ってはいけないのでしょうか。
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