以下は、朝日新聞デジタル(2017年9月12日)からの引用です。
法務省は12日、今年の司法試験の合格者を発表した。5967人(前年比932人減)が受験し、1543人(同40人減)が合格した。政府が目標とする1500人をわずかに上回ったが、新試験に完全に移行した2012年以降、最少だった。合格率は25・86%(同2・91ポイント増)だった。
合格者は男性1228人、女性315人。年齢は21〜71歳で、平均28・8歳だった。合格者のうち74校ある法科大学院の修了者は1253人で、合格率は22・51%。合格率の上位5校がいずれも4割を超えた一方で、29校で合格率が1割を切るなど、法科大学院の格差が顕著になっている。
また、法科大学院を経ずに受験資格を得られる予備試験を通過した合格者は290人。過去最多の昨年から55人増えた。合格率も72・50%と過去最高だった。
司法試験合格者は、裁判官や検事、弁護士になるために11月から司法修習生として約1年間、裁判所などの現場や研修施設で学ぶ。
国は今年の司法修習生から、生活費として月額13万5千円の「修習給付金」、家を借りる人にはさらに月額3万5千円の「住宅給付金」を支給する。給与などを払う「給費制」が2011年に廃止され、返済が必要な「貸与制」に移行していたが、法改正で現行制度になった。
■「最短ルート選んだ」増える予備試験組
今年の司法試験の結果は改めて法科大学院間の格差をあらわにした。来春も募集を続ける法科大学院は39校で、74校あったピーク時からほぼ半減。一方、法科大学院を経ずに司法試験を受けられる予備試験通過組は過去最多の合格者数となった。
「大学院も無駄ではないと思うけど、早く弁護士になりたかったので最短ルートを選んだ」。初受験で合格した慶応大4年の男性(21)は、昨秋の予備試験に受かって受験資格を得た。大学では授業をほとんど受けず、予備校で司法試験の勉強に励んだという。
法科大学院修了者の合格率は、新司法試験が始まった06年は48・25%だったが、09年以降は2割台で低迷。一方、経済的事情などで法科大学院に進めない人のために設けられた予備試験合格者は毎年6割を超える高い合格率を保ち、合格者数は年々増加している。法科大学院で2年(法学未習者は3年)過ごさずに司法試験を受けられるため、「時間もお金も節約できる」と「抜け道」化しているのが現状だ。
法科大学院協会理事長を務める中央大法科大学院の大貫裕之教授は「予備試験が法曹への『ショートカット』として使われているとしたら好ましくはない」と指摘。そのうえで「授業を通して論理的に主張する力がついているなど、法科大学院の出身者は実務の現場でも評価が高い。幅広く、質の高い法学教育を受けられるという特長を強調したい」と話す。
ただ、「(法科大学院では)試験に直結しない授業も多かった」と不満を漏らす学生も。一橋大の法科大学院を修了し、初挑戦で合格した男性(26)は「『予備校みたいになりたくない』と考える教授の気持ちも分かるが、試験に受からないと元も子もない」と語った。
日本弁護士連合会の渕上玲子副会長は「予備試験通過組の中には多くの法科大学院生も含まれており、法科大学院の存在意義が否定されているわけではない。予備試験が本来の目的とは離れた現状にあることを理解したうえで、今後どうするか検討していかなければいけない」と話す。」
法務省の発表は↓
http://www.moj.go.jp/jinji/shihoushiken/jinji08_00142.html
今回の合格者数を少ないと見るのか、合格率が上がったのだから多いと見るのか、予備試験をどう評価するのか、立場によって、見解は様々ですね。
いずれにしても、当面、合格者1500人というのは、堅持されそうな雲行きですね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/419556035.html
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/446055879.html
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