以下は、朝日新聞デジタル(2017年6月5日)からの引用です。
「配偶者が亡くなった後、配偶者の血族である「姻族」との関係を断ち切る、「死後離婚」が増えている。
女性からの届け出が多いようだ。
核家族化で負担が重くなりがちな、義父母の介護や墓の管理への不安が背景にあるとみられる。
結婚してできた配偶者の血族との姻族関係は、離婚をすれば自動的に終わる。
しかし夫か妻の一方が亡くなった場合、関係を終了するには役所へ「姻族関係終了届」を出す必要がある。
これが「死後離婚」とよばれる。
法務省によると、2015年度の届け出数は2783件。
06年度からの10年で1・5倍に増えた。
戸籍には、姻族関係終了の届け出日が記載され、受理した役所が受理証明書を発行してくれる。
夫婦問題の相談に応じる「HaRuカウンセリングオフィス」(東京都港区)の高草木(たかくさぎ)陽光(はるみ)さんによると、死後離婚の相談は昨年になって急増し、30件ほど寄せられた。
義父母の介護や夫のきょうだいとの関係で悩む女性が大半という。
三重県の会社員女性(43)は、夫の病死から3年となった5月、姻族関係終了届を出した。
きっかけは義父の死だ。
義父母は夫が子どもの時に離婚し、夫は義母に育てられ、義父とは疎遠だった。
昨年末に義父が亡くなると、一人っ子だった夫宛てに、警察から身元確認の問い合わせがきた。
亡き夫に代わり、女性が相続放棄などの手続きをした。
姻族に対して、重い責任を背負わされた気がした。
近所に暮らす義母とはいまも良い関係で、買い物や病院の送り迎えを手伝う。
2人の娘にとっては「大好きなおばあちゃん」だ。
関係を変えるつもりはなく、届け出をしたと伝えるつもりもない。
ただ、子育てや自身の両親の介護など、夫の死後に一気に重荷が増えた気がした。
「縁を切るつもりはないけれど、せめて精神的な負担だけは軽くしておきたい」と話す。
大阪市北区の「司法書士事務所ともえみ」の山口良里子(よりこ)・代表司法書士は、義理の姉との関係に悩む関西地方の60代の女性に、終了届の提案をした。
夫の死後、夫の両親の墓や、空き家である実家の管理に悩んでいた。
遠方のため管理が難しく、義姉に墓じまいと実家の片付けを相談した。
だが「ひどいことをするわね」と批判されるだけだった。
結局、1年かけて1人で実家を片付け、墓も自宅近くに移した。
女性は「義姉と縁を切りたい」と思い詰めていた。
山口さんは「『嫁の責任』を全うしようとまじめに考える人ほど、姻族との関係に悩んでしまう」と話す。
■「夫 死後 籍を抜く」で検索
4月末、大阪市で「死後離婚セミナー」があり、男女4人が集まった。
企画した夫婦問題カウンセラーの高原彩規子(さきこ)さん(59)も、死後離婚の経験者だ。
浮気を繰り返す夫と、離婚を話し合ったこともあった。
しかし2011年、がんの再発から約1年で死去。
入院生活の末にみとり、「夫婦に戻れた」と感じたこともあったという。
だがその半年後、入院中の荷物を入れたスーツケースを開けた瞬間、「この人の妻として残りの人生を生きたくない」と思った。
浮気相手と撮った2ショット写真が内ポケットに挟まっていた。
残された家族が遺品を見てどう思うか想像できなかったのか――。
「夫 死後 籍を抜く」。
インターネットで検索し、姻族関係終了届と、さらに夫の籍から抜けて旧姓に戻す復氏届の存在を知った。
娘に相談し、悩んだ末に実行した。
昨年から、その経験を語るセミナーを大阪市内などで開く。
自分の決断に悔いはないが、「決してお勧めするものではない」という。
子どもともよく相談するようアドバイスする。
妻にとっては姻族でも、子どもにとって義父母らは血族で、その関係は変わらないからだ。
「生きている間に、夫や夫のきょうだいと、義父母の介護をどうするかなどを話し合ってほしい。『死後離婚すればよい』と問題を先送りするのはよくない」と話す。
《姻族》
配偶者の血族や、自分の血族の配偶者のこと。
姻族関係は一般的に、結婚によって発生し、離婚によって終わる。
民法は、配偶者のおじやおばなど3親等内の姻族を「親族」と定める。
そのうえで、家庭裁判所が特別な事情があると認めた場合、3親等内の親族に扶養義務を負わせることができるとしている。」
以前、どこかで同じような記事を見て、ブログで紹介したような気がしていましたが、気のせいだったようです。
女性からの届け出が多いのは、女性の方が長生きだからでしょうか。
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