以下は、朝日新聞デジタル(2017/4/12)からの引用です。
「お金のやりとりを伴う契約のルールを定めた民法の規定(債権法)を抜本的に見直す改正法案が12日、衆院法務委員会で可決された。
消費者保護を重視しており、今国会で成立する見通し。
現行法は1896(明治29)年の制定後、ほとんど変更されてこなかったが、インターネット取引の拡大などを受けて、現代社会に適した内容が盛り込まれている。
債権法は明治時代に制定されて以来、契約で問題などが生じると、裁判所が示した裁判例を「事実上のルール」として補い、運用されてきた。
だが、消費者保護を求める声が高まり、法相の諮問機関「法制審議会」が2015年、改正案の要綱を答申。
改正案が同年の通常国会に提出され、継続審議になっていた。
改正案では、消費者保護を重視しており、生活に直結する点も多い。
お金の支払いを請求できる時効の期間は、「請求権があると知ったときから5年(知らなかったときは請求できるようになってから10年)」に統一される。
これまでは、飲食料の「つけ払い」や宿泊料は1年▽弁護士の報酬は2年▽医師の診療報酬は3年▽個人同士のお金の貸し借りは10年――と業種ごとにバラバラだった。
当事者同士で利息について取り決めをしていないときに使われる「法定利率」は、現行の年5%から年3%に引き下げられ、市場の金利に合わせて3年ごとに見直す変動制になる。
交通事故などで亡くなった人が将来得たであろう「逸失利益」の算出は、法定利率で計算した利息分を差し引くため、遺族が受け取る保険金は増えることになる。」
これがそのまま、衆院法務委員会で、可決されたということでしょうか↓
http://www.moj.go.jp/MINJI/minji07_00175.html
縦書きはとても読みづらいですが、改正後の民法404条2項は、「法定利率は、年3パーセントとする。」とのことです。
そして、同じく419条1項本文は、「金銭の給付を目的とする債務の不履行については、その損害賠償の額は、債務者が遅滞の責任を負った最初の時点における法定利率によって定める。」とのことです。
交通事故による損害賠償債務は、当該交通事故時に発生し、かつ遅滞に陥ることになっていますので、遅延損害金の利率3%については、改正民法の施行後の交通事故にしか適用がないことは明らかです↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52148
一方、中間利息の控除については、元々、民法には定めがなく、今回の民法改正でも、特段の定めはないようですが、こちらも、遅延損害金と平仄を合わせて、改正民法の施行後の交通事故についてのみ、3%ということになるのでしょうか↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=52406
と思ったら、改正後の民法417条の2の1項は、「将来において取得すべき利益についての損害賠償の額を定める場合において、その利益を取得すべき時までの利息相当額を控除するときは、その損害賠償の請求権が生じた時点における法定利率により、これをする。」、同2項は、「将来において負担すべき費用についての損害賠償の額を定める場合において、その費用を負担すべき時までの利息相当額を控除するときも、前項と同様とする。」と定めていました↓
http://www.moj.go.jp/content/001142181.pdf
上記のとおり、交通事故による損害賠償請求権は、当該交通事故時に発生することになっているので、やはり、中間利息を3%で計算できるのも、改正民法の施行後の交通事故についてのみということになるのですね。
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