以下は、朝日新聞デジタル(2017年3月22日)からの引用です。
「自分の卵子で妊娠できない女性に、匿名の第三者からの無償での卵子提供を仲介するNPO法人「OD―NET」(神戸市)は22日、提供卵子を使った体外受精で女児1人が国内で初めて誕生したと発表した。卵子提供で生まれた子どもの法的な位置付けは明確ではなく、関係者は法整備の必要性を訴える。子どもの「出自を知る権利」の確保も課題となる。
出産したのは、若いころに月経がなくなる「早発閉経」の40代の女性。2015年に提携する医療機関で提供者から23個の卵子を採取し、夫の精子と体外受精させ、成長した11個を凍結。提供者に感染症などがないことを確認した上で、妻の子宮に1個を移植した。1度目は流産したが、2度目の16年4月に妊娠し、今年1月に女児を出産した。母子ともに健康だという。
NPOでは、35歳未満で、子どもがいることなどを条件に提供者を募集しており、居住地や年齢、血液型などを考慮して夫婦との組み合わせを決めた。互いの情報は知らないという。体外受精の費用は夫婦側の負担で、計100万円ほどかかった。
子どもには、3〜5歳ごろから卵子提供の事実を伝え、15歳以上で本人が希望すれば、提供者の氏名や連絡先などの情報が医療機関から渡されることに夫婦は同意したという。提供者との面会を希望した場合には提携する医療機関で調整する。こうした条件には提供者も同意しているが、強制力はなく、最終的には当事者の判断に委ねられる。
NPOによると、他にも提供卵子を使った受精卵で2人が妊娠中のほか、1人が流産した。他にも3組の組み合わせが成立しており、順次カウンセリングや体外受精を進める予定という。
現行の民法では「生みの親」が母親とみなされるが、卵子提供による子どもの誕生は想定していない。厚生労働省の有識者会議は03年、匿名の第三者からの無償での卵子提供を認める報告書をまとめたが、法整備は進んでいない。自民党の合同部会は16年、卵子提供を受けた場合でも「産んだ人が母」とする法案を了承したが、提出の見通しは立っていない。
日本産科婦人科学会は指針で体外受精は事実婚を含む夫婦に限っており、第三者からの卵子提供について「国の法整備を待つべきだ」との方針を示している。日産婦の苛原稔・倫理委員長は「現実に卵子提供で子どもが生まれている。現場に混乱がないように法整備を急いで欲しい」と話した。
NPOの岸本佐智子理事長も「生まれてくる子どもたちの生活や福祉が守られるためにも法制化が必要。悩んでいる夫婦の声に耳を傾けて欲しい」と訴えた。
国内の一部の施設では、姉妹間などでの卵子提供が実施される一方、海外で卵子提供を受ける人もいる。
生殖医療に詳しい日比野由利・金沢大助教(社会学)は「英国では卵子提供者の情報を公的機関が管理するなど、子どもの『出自を知る権利』に配慮がなされている。日本の現状では、親が子どもに提供の事実を伝えなければ、子どもは知ることさえできない。卵子提供を受ける親は、生まれてくる子どもを独立した人格と認め、提供を受けたことを子どもにきちんと伝えることが望ましい」と話す。」
3年以上前の2013年10月の時点で、既に、こんな議論があったのですが…↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/377764620.html
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