2017年03月08日

名義貸しクレジット契約、顧客免責の余地 業者虚偽説明なら


以下は、日本経済新聞(2017/2/21)からの引用です。

「資金繰りに窮した販売業者に頼まれ、クレジット契約で商品を買ったことにした顧客が、代金を立て替えた信販会社への支払いを拒めるかが争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第3小法廷(大橋正春裁判長)は21日、「顧客が名義貸しに承諾していても、業者側が重要部分についてうその説明をしていた場合は、支払いが免除される」との初判断を示した。

割賦販売法は、販売店の説明にうそがあり、顧客側に大きな落ち度がなければ、契約を取り消せると規定。

名義貸しも対象になる場合があるとの司法判断が示され、クレジット契約を巡るトラブルの解決に影響を与えそうだ。

判決によると、北海道旭川市の呉服店が2008〜11年、「責任を持ってうちが払う。絶対に迷惑は掛けない」と顧客に名義貸しを依頼。

承諾した34人がつむぎや帯などを買ったことにし、信販2社が立て替えた代金を呉服店が運転資金に充てていた。

店が分割払いしていたが、途中で破産。

2社が34人に残金を請求した。

最高裁は「名義貸しは不正だが、顧客が背負うリスクの有無などについて業者がうそを告げ、顧客が誤解した場合は保護に値し、契約を取り消せる」と指摘。

その上で、顧客敗訴の二審札幌高裁判決を破棄し、審理を差し戻した。

顧客が店の説明をどの程度信用したかや、大きな落ち度がなかったかなどを改めて審理する。

一審旭川地裁判決は2社の請求を棄却。

札幌高裁は客の責任を認め、請求通り計約3700万円の支払いを命じていた。

顧客側の金昌宏弁護団長は「最高裁の法令解釈は極めて的確で、多数の同種被害者の救済に役立つ」との談話を発表。

信販2社は「判決を真摯に受け止め適正に対応する」とコメントした。〔共同〕」




早速、裁判所のホームページに掲載されています↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=86517

名義貸しに加担したのに、どうして免責という結論になるのかと思ったら、「ローンを組めない高齢者等の人助けのための契約締結であり、上記高齢者等との売買契約や商品の引渡しは実在する」と告げているところが、単なる名義貸しとは違う、ということなのですね。

全国多数の販売店と提携し、莫大な手数料収入を得ている信販会社と、名義貸しに加担して、多少の利益を得ているのかどうかはわかりませんが、それだけの話の客とで、どちらが責任を負担すべきかという利益衡量からは、最高裁の判断は、画期的だと思います。

ただ、反対意見の方が、論理的には、筋が通っているようにも思いますが。

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posted by 森越 壮史郎 at 12:56| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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