以下は、日本経済新聞(2016/12/14)からの引用です。
「相続税対策で結んだ養子縁組は有効か、最高裁が初の司法判断を示すことになった。
節税として広く行われているとされるが、これまでの裁判では「有効」「無効」が分かれていた。
最近は相続税の増税で節税策への関心が高まっており、最高裁の結論が注目されている。
最高裁で審理されるのは、2013年に亡くなった福島県の男性(当時82)のケース。
亡くなる前年に長男の息子である孫と結んだ養子縁組が有効かどうかが争われた。
一、二審判決によると、養子縁組の成立後にこの男性と長男の関係が悪化し、男性の長女らが「養子縁組は無効」として提訴した。
12年当時、相続する財産のうち相続税が課税されない「非課税枠」(基礎控除)は一律5千万円をベースとして、法定相続人1人あたり1千万円が上乗せされる仕組みだった。
例えば、相続人が子供3人なら非課税枠は8千万円。
孫を養子にして相続人が4人になると非課税枠は9千万円に広がる。
相続税法の規定では、養子縁組で相続人にできる人数は実子がいれば1人、実子がいなければ2人に限られる。
無制限に非課税枠を広げることはできないが、後継ぎになり得る孫や、子の配偶者を養子として節税を図るケースは珍しくない。
税理士法人レガシィ(東京)の調べによると、15年の課税価格5億円以上の相続のうち、約4割が養子縁組を結んでいたといい、節税策として定着しつつある。
当事者は必ずしも「節税目的」と明言しているわけではないが、遺族間で相続が問題になった場合、福島県の男性のように裁判になることもある。
これまで家庭裁判所など下級審では、節税目的であることを理由に養子縁組を無効とする判断は少なかった。
今回の事例でも一審・東京家裁は有効とした。
しかし二審・東京高裁判決は、男性が税理士からたびたび節税効果の説明を受けていた経緯などを踏まえ、「相続税対策が目的で真の親子関係をつくる意思がなかった」として無効と判断した。
一、二審で結論が分かれ、孫側が上告した。
最高裁第3小法廷(木内道祥裁判長)は11月1日、上告を受理し、12月20日に双方の意見を聞く弁論を開くことを決めた。
通常、弁論は二審の結論を変更するときに開かれるため、「無効」とした二審判決が見直される可能性がある。」
見直される可能性があるというか、上告を棄却する場合は、弁論を開く必要がありませんので、弁論が開かれるということは、見直されることになるのではないでしょうか。
ですので、結論的には、破棄自判で、有効という判断になるのではないかと思います。
さすがに、破棄差戻しが必要となる事件とは、思えませんし。
別に、節税目的であろうと、姓を変えるためであろうと、真に養子縁組をする意思がある以上、無効とする理由はないのではないかと思いましたが、婚姻無効と同列に考えるのであれば、必ずしもそうとも言えないようですね↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=51893
一定の判断基準が示されることになると思いますが、さて、どうなるのでしょうか。
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