以下は、朝日新聞デジタル(2016年11月9日)からの引用です。
「検索サイトの「グーグル」で自分の名前を検索すると約5年前の逮捕歴がわかってしまうことから、検索結果の削除を求めた男性の申し立てに対し、横浜地裁川崎支部が削除を命じる仮処分決定を出していたことがわかった。
男性の代理人弁護士が明らかにした。
始関正光裁判長は「無名の一市民の逮捕歴は公共の関心事ではなく、公表することに社会的意義はない」などとしてグーグル社の異議申し立てを退けたという。
代理人によると、男性は2011年に迷惑防止条例違反容疑で逮捕された。
グーグルで名前を検索すると当時の報道記事が表示されるため仕事も見つからず、「人格権の侵害」と訴えていた。
同支部は今年6月、グーグル社に検索結果の削除を命じる仮処分決定を出したが、同社が異議を申し立て、同支部は10月31日付で、改めて仮処分決定を認可したという。
グーグルの検索結果に表示される個人の逮捕歴の削除を求める訴訟や仮処分申請については、裁判所によって判断が分かれている。
東京高裁は7月、約5年前に女子高生に金を払ってわいせつな行為をしたとして逮捕された男性の検索結果は、「女子児童をもつ親にとって重大な関心事」と判断。
検索結果の削除を命じたさいたま地裁の仮処分決定を取り消している。」
一方、以下は、同じく朝日新聞デジタル(2016年10月29日)からの引用です。
グーグル検索に逮捕歴、削除認めない判決「公共性ある」
「グーグルの検索結果で過去の逮捕歴が分かるとして、会社経営の男性が検索結果の削除を求めた訴訟で、東京地裁(岡崎克彦裁判長)は28日、「検索結果の表示には公共性がある」と判断し、男性の訴えを退けた。
判決によると、男性は10年以上前に振り込め詐欺の容疑で逮捕され、執行猶予付きの有罪判決を受けた。
この日の判決は、男性が引き出し役のリーダー格であったことなどから、「執行猶予期間後5年程度しかたっておらず、公共の関心も薄れたとはいえない」と指摘。
男性が会社社長という「社会に一定の影響を与える地位」にあり、「取引先などが信用調査の一環として犯罪事実を知ることは正当な関心事だ」として、現段階では男性は情報を公表されることを受け入れるべきだ、と判断した。
一方で判決は、執行猶予期間の終了から5年以上経過し、新しい社会生活を送っていることから、男性に「更生を妨げられない利益がある」とも述べた。
男性の代理人弁護士は「検索結果の表示自体が、更生を妨げられない利益を害すると認めたことは評価できるものの、結論は不当で控訴したい」と話した。
グーグルは「人々の知る権利と情報へのアクセスを尊重した判断であると考えています」とコメントした。」
前者は、「逮捕歴」「迷惑防止条例違反容疑で逮捕された」としか記載されていないので、その後の処分がどうなったのかはわかりませんが、逮捕歴だけであれば、5年も経過していれば、削除を認めるということでしょうか。
それとも、罰金刑などの処分を受けていても、ということでしょうか。
後者は、執行猶予付きの有罪判決ですが、執行猶予期間が経過した後、5年程度が経過していても、「現段階では男性は情報を公表されることを受け入れるべき」として、削除を認めず。
7月の東京高裁とは、こちら↓のことだと思いますが、罰金50万円の略式命令で、3年経過していても、削除を認めず。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/440398715.html
最高裁が、ある程度の判断基準を示さなければ、それぞれの裁判官の価値観次第という感じですが、この手の事件は、最高裁まで、争えるのでしょうか。
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