以下は、朝日新聞デジタル(2015年11月6日)からの引用です。
「法務省は5日、法科大学院を修了せずに司法試験の受験資格を得られる予備試験の今年の合格者が394人だったと発表した。
前年より38人増えて過去最多を更新。
試験が始まった2011年以降、4年連続の増加となった。
本来は例外的な位置づけの試験だが、人気が集まる傾向が続いている。
今年の予備試験の受験者は1万334人。
2年続けて1万人を超え、法科大学院の受験者を上回った。
予備試験は本来、経済的な事情で大学院に通えない人や社会人のために設けた制度だが、今回の合格者のうち大学生は156人、法科大学院生は138人で合わせて全体の7割を超えた。
年齢別でも20〜24歳が6割を占めた。
9月に合格発表があった今年の司法試験では、予備試験通過者は186人が合格。
初めて全体の1割を占めた。
通過者の合格率は61・79%で、大学院修了者の21・57%よりも高い。
大学院は修了に2〜3年かかるうえに合格率が低く、予備試験が「抜け道」になっているのが現状だ。
■高い学費も悩み、学生側は肯定的
法曹養成のあり方について政府が今年6月に決めた方針は、予備試験について「制度創設の趣旨と現在の利用状況が乖離(かいり)している」と指摘。
試験科目の見直しや運用面の改善を検討するとしている。
朝日新聞が6月、募集停止を含む法科大学院全74校に聞いたアンケート(回答57校)では予備試験への批判が相次いだ。
30校が「資力や年齢で受験を制限するべきだ」、15校が「大学院生に受験を認めないようにするべきだ」とし、19校が予備試験の廃止を求めた。
一方、当事者の学生たちは肯定的だ。
都内の私立大4年の女性(22)は今回、3度目の受験で予備試験に合格。
「大学院で安心して勉強できるのは合格率上位の数校のみ。通っても学費が高く、奨学金を使うことになる。そうならないためにも本気で勉強した」。
大学4年で予備試験に合格し、今年の司法試験を突破した男性(22)は「予備試験に受かると弁護士事務所の就職に有利。時間とお金を最小限に抑え、いち早く法曹として活躍できる」と語る。」
自分に魅力がないことを棚に上げて、ものすごい恨み節ですね。
既に司法試験合格レベルに達しているのに、「若いのだし、親はお金がない訳ではないのだから、法科大学院に入学・卒業してから、司法試験を受けなさい。」というのは、おかしな話です。
予備試験は、法科大学院課程の修了者と同等の学識及びその応用能力並びに法律に関する実務の基礎的素養を有するかどうかを判定することを目的とする試験な筈ですが(司法試験法5条1項)、予備試験組の司法試験の合格率が、法科大学院組の合格率を大幅に上回っているということは、「法科大学院課程の修了者と同等」どころではない、ものすごい高いハードルを設定していることになります。
それなのに、尚更、予備試験に合格しづらくするのだとしたら、改善などと呼べる代物ではありません。
弁護士大増員で、自由競争による自然淘汰が良しとされているのですから、法科大学院も、同じではいけないのでしょうか。
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