以下は、日本経済新聞(2016/9/13)からの引用です。
「法務省は12日、民事裁判の支払い義務を果たさない債務者の預金口座情報を、裁判所が銀行などに照会できる制度の検討を始めた。
金田勝年法相が民事執行法の見直しを法制審議会(法相の諮問機関)に諮問した。
2018年度以降の法改正を目指す。
離婚時に取り決めた養育費や判決が命じた賠償金が支払われない場合、銀行口座を差し押さえる「強制執行」により回収しやすくする。
現行制度では債権者が裁判所に預金の差し押さえを求める場合、債務者が口座を持つ金融機関の支店名までを自力で特定する必要があり、負担が重かった。
債務者本人に情報開示を求める制度はあるが罰則が軽く、実効性が薄いとの指摘があった。
法務省は、プライバシーに配慮しつつ債務者が口座を持っている可能性のある大手銀行や地方銀行に対し、裁判所が情報開示を要請する制度を検討する。
議論には1〜2年かかるとみられ、法案の提出は18年度以降になる見通しだ。
例えば、賃貸不動産の原状回復費を巡り裁判で争った結果、受け取りを認められた家主が、支払いを拒否する賃借人から費用を回収する場合に新制度を利用できる。
相手が転居し、どこに預金口座があるか不明な場合に有効だ。
交通事故の慰謝料や犯罪被害者への賠償金、売掛金や金銭貸借を巡るトラブルなど民事裁判で確定した債権に広く影響する。
離婚後に元配偶者から養育費を受ける際にも役立つ。
離婚後、相手の財産の所在が不明確になってしまうケースが多いためだ。
養育費を受け取れていない母子家庭の割合は高く、厚生労働省の11年の調査では、母子家庭の約4割が元夫と養育費を取り決めたが、実際に養育費を受け取れているのは、その約半数にとどまっている。
日本弁護士連合会の08年の調査では、確定判決を勝ち取りながら債権を回収できなかったことが「ある」と答えた弁護士は全体の8割にのぼった。
法務省は銀行に照会が殺到する場合も想定し、事務負担が重くなりすぎないような制度設計を慎重に検討する。
虚偽の説明をした債務者に対する罰則の強化も視野に入れる方針だ。
民事執行法改正で不動産競売からの暴力団排除も目指す。
離婚などで離ればなれになった「子の引き渡し」の強制執行について新たな規定も検討する。」
この記事↓の続報ですが、やはり、法案の提出は18年度以降になる見通しですか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/441086954.html
私自身も、勝訴判決等を得たものの、債権を回収できなかったことがあります。
勝訴判決等を得ても、単なる絵に描いた餅では、司法に対する信頼は、失われてしまいますので、是非とも、実効性のある制度を、実現して頂きたいものです。
しかしながら、判決等の債務名義を取られているのに支払わない(支払えない)人が、自分名義の預金口座に、大金を残しているとは考えられませんので、結局のところ、今まで以上の脅威を感じさせることによって、間接的に支払を促す程度に過ぎないのかも知れません。
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