以下は、朝日新聞デジタル(2016年8月5日)からの引用です。
「裁判などで確定した賠償金や子どもの養育費が不払いにならないように、支払い義務がある人の預貯金口座の情報を金融機関に明らかにさせる仕組みを法務省が導入する。
裁判所による強制執行をしやすくする狙いがある。
今秋にも、法相の諮問機関「法制審議会」に民事執行法の改正を諮る見通しで、2018年ごろの国会提出をめざす。
今の制度では、賠償金などの支払い義務が確定した人(債務者)の口座を裁判所が強制的に差し押さえる場合、支払いを受ける人(債権者)が自力で、その口座のある金融機関の支店名を特定する必要がある。
だが、犯罪被害者が加害者に請求する場合など、相手との接点が少ないと支店名を特定するのは難しかった。
一方、離婚後の子どもの養育費をめぐっては、不払いになる例が相次いでいる。
厚生労働省が11年に実施した調査では、元夫と養育費について取り決めた母子家庭は約4割。
養育費を受け取れているのは全体の約2割で、計算上は、取り決めても約半数は受け取れていないことになる。
法務省の見直し案では、債権者は、債務者が住む地域の地銀など口座がある可能性がある金融機関ごとに確認を裁判所に申し立てられる。
裁判所は各金融機関に照会。
口座がある場合はその金融機関の本店に対し、差し押さえる口座のある支店名や口座の種類、残高などを明らかにするよう命じる制度を新たに設ける。
債権者にとっては、債務者が口座を持つ金融機関名が特定できなくても、見当がつけば足りることになる。
また、民事執行法には債務者を裁判所に呼び出し、自分の財産の情報を明らかにさせる手続きが定められているが、債務者が来ず開示に応じないなど、実効性が課題となっていた。
この手続きを経ずに差し押さえを申し立てるケースも多いことから、見直しでは、応じないときの制裁を強化し、現在の「30万円以下の過料」から、刑罰を科すことも検討する。
1979年に制定された同法をめぐっては、「支払いに実効性を持たせる必要がある」という指摘があり、昨秋から法務省の担当者が加わった民間の研究会が議論を続け、今年6月に報告書をまとめた。
報告書にはこのほか、離婚後の子どもの引き渡しに関するルールの明文化や、不動産競売からの暴力団関係者の排除策などについても盛り込まれており、同省が改正を検討している。
■民事執行法見直しの主なポイント
・債務者の口座の支店名などの情報を、金融機関に出させる制度の新設
・離婚した夫婦間などでの子どもの引き渡しに関するルールを設ける
・不動産の競売で、落札者が暴力団関係者と判明した場合に売却できなくする」
この記事↓の続報ですが、「2018年ごろの国会提出をめざす」ですか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/439012958.html
その後の改正法の成立、公布、施行と、まだまだ道のりは長いのですね。
ところで、財産開示手続は↓
http://www.courts.go.jp/tokyo/saiban/minzi_section21/zaisankaizi/index.html
財産開示手続申立の要件は、「強制執行又は担保権の実行における配当等の手続(申立ての日より6箇月以上前に終了したものを除く。)において、申立人が金銭債権(被担保債権)の完全な弁済を得ることができなかったこと(民事執行法197条1項1号及び2項1号)」ですので、「この手続きを経ずに差し押さえを申し立てるケースも多いことから」というコメントは、意味不明です。
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