2016年08月02日

B型肝炎訴訟 未発症者も早期の提訴を 和解から5年


以下は、朝日新聞デジタル(2016年7月25日)からの引用です。

「集団予防接種をめぐるB型肝炎訴訟で、国と原告が和解の基本合意をしてから6月で5年がたった。感染した被害者には給付金が支給されるが、その前提となる国を相手取っての提訴は進んでいない。肝がんや肝硬変を発症する可能性もあり、原告団は早期の検査や提訴を呼びかけている。

■進まぬ提訴 感染者の8割、未発症

「発症した時のために、提訴の手続きをとっておいた方がいいですよ」。今月16日、北海道旭川市内の会議室。14人の市民らが集まる中、弁護士が勧めた。B型肝炎の感染者らを対象に、B型肝炎訴訟北海道弁護団が年に約20回開いている説明会でのことだ。

旭川市の女性(74)は4年前、健康診断で感染が発覚。息子の妻から「話だけでも聞いた方がいい」と言われて参加した。発症はしていないが「手続きを進めようと思う」と語った。

集団予防接種の際に注射器を使い回したのが原因で感染したとして、患者や遺族が国に損害賠償を求めたB型肝炎訴訟。2008年の札幌地裁を皮切りに全国で提訴され、11年6月に国と全国原告団が和解の基本合意をした。12年には被害者救済のための特別措置法が施行された。

救済策の柱は給付金の支給だ。肝がんや重度の肝硬変を発症した患者や遺族には3600万円、軽度の肝硬変の患者には2500万円、慢性肝炎患者には1250万円が支払われる。未発症者は50万円だが、定期検査費や母子感染を防ぐための医療費も支給される。これらの給付金を受け取るには、国を相手に提訴し、和解する必要がある。

だが、基本合意から5年がたった今も、提訴は進まない。厚生労働省によると、集団予防接種による感染者は推計で約45万人だが、提訴したのは3万6千人程度。うち原告団に加わって提訴した人(今月15日現在)は1万9019人で、全提訴者の半数強にとどまる。

提訴する人が少ないのは未発症者が多いためだ。感染者の8割を占めるとされるが、提訴した人の中での割合は3割程度。道内の場合も同様とみられ、原告団の一員として提訴した2394人(同)のうち未発症者は約31%の746人だ。

道は感染の有無や病気の早期発見に向け、無料検査を実施。最寄りの保健所で受診できる。札幌市や旭川市などでも指定医療機関で検査を受けられる。だが、道によると検査は年間数百件にとどまるという。

約45万人と推計された感染者のうち、和解して給付金を受け取った人は約2万人。原告団に加わって和解した人は1万3801人(道内は1871人)にとどまる。このため今年5月には特措法が改正され、給付金の請求期限が22年1月まで5年間延長された。

全国弁護団の事務局長を務める札幌弁護士会所属の奥泉尚洋弁護士は「発症してようやく提訴に至る人が多い。未発症の人にも参加してもらいたい」と話している。

■「治療早ければ…」原告団代表

「自分と同じ後悔をしてほしくない」。北海道原告団の代表代行を務める札幌市北区の清本太一さん(39)は語る。

専門学校生だった18歳の時、学校で受けた献血でB型肝炎への感染がわかった。だが、発症する割合は低いとされることもあり、検査や医師の診察は受けなかった。「『自分は発症しない』『治っている』と思い込んでいた」

実家に帰るたび、両親にB型肝炎に関する新聞記事や取り寄せた資料を見せられた。発症しているかどうか検査を受けるよう何度も勧められた。

「自分は大丈夫なんだ」と両親を説得するため、30歳の頃に検査を受けた。すると、肝硬変であることがわかった。「軽く考えていた。治療が早ければ発症していなかったかもしれない」。今も後悔が募る。

現在は投薬治療を受けながら、自分と同じような思いをする人が増えないよう、啓発活動などに携わる。「未発症者でも給付金は支給されるので、最大限活用してほしい」。多くの人が救済されることを願っている。

《B型肝炎》

B型肝炎ウイルスが原因で肝臓が悪くなる病気。集団予防接種の際の注射器の使い回しのほか、出生時の母子感染や輸血、体液を介して感染する。B型肝炎訴訟北海道原告団によると、感染者のうち、肝硬変や肝がんを発症する人は約2割とされるが、潜伏期間は一定ではなく、約8割とされる未発症者(キャリアー)も発症する恐れがある。厚生労働省は集団予防接種による感染者(被害者)を約45万人と推計している。

■B型肝炎訴訟をめぐる主な動き

1948年7月 予防接種法が施行。80年代まで集団予防接種で注射器の使い回しが相次ぐ

89年6月 B型肝炎ウイルスに感染した5人が、国に損害賠償を求めて札幌地裁に提訴

2006年6月 最高裁が国の責任を認め、5人が勝訴

08年3月 別の感染者5人が札幌地裁で国を相手に提訴。その後、9地裁でも一斉提訴

11年1月 札幌地裁が和解勧告

6月 国と原告・弁護団が救済措置を盛り込んだ基本合意書に調印。国が謝罪

12年1月 救済のための特別措置法施行。裁判上の和解が成立した被害者に給付金が支給されるように。請求期限は17年1月

16年5月 請求期限を22年1月まで5年間延長する法改正」





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全国B型肝炎訴訟北海道弁護団事務局
TEL 011-231-1941
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posted by 森越 壮史郎 at 12:06| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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