以下は、毎日新聞(2016年7月12日)からの引用です。
「10日投開票の参院選で選挙区間の「1票の格差」が最大3・08倍だったのは違憲として、弁護士グループが11日、全45選挙区の選挙無効を求めて全国の8高裁と6高裁支部に一斉提訴した。
公職選挙法は選挙無効訴訟について「100日以内の判決」を努力規定にしており、早ければ今秋から判決が相次ぐ。
その後、最高裁が統一判断を示すことになる。
一斉提訴したのは、投票価値の平等を求めて活動する升永英俊弁護士らのグループ。
同様の取り組みをする山口邦明弁護士のグループも同日、広島選挙区の無効を求めて広島高裁に提訴した。
近く東京、神奈川両選挙区分も提訴するという。
参院選の1票の格差訴訟では、最大格差が5倍だった2010年選挙について12年10月の最高裁判決が「違憲の問題が生じる程度の著しい不平等の状態にある」として1992年選挙以来2度目の違憲状態とした。
13年選挙は定数が「4増4減」されて同4・77倍に縮小したが、最高裁は14年11月の判決で再び違憲状態とした。
二つの判決は格差是正に時間が必要なことなどを理由に選挙は無効としなかったが、「都道府県を選挙区単位とした現行方式を改める必要がある」と国会に抜本改革を求めた。
自民党などは15年7月、「鳥取・島根」「徳島・高知」の選挙区を合区して一部の選挙区を「10増10減」する公選法改正案を国会に提出。
民主(現民進)・公明両党などは格差が2倍程度となる「20県10合区」案を提出したものの、賛成多数で自民案が可決・成立した。
改正法に基づく今回の選挙では、選挙区の議員1人当たりの有権者が最多の埼玉県と、最少の福井県の格差は3・08倍だった。
訴訟は国会が合区に取り組み、格差が縮小したことを裁判所がどう評価するかがポイントとなる。
提訴後に記者会見した升永弁護士は「格差は存在しており合区は意味をなさない。
不平等な選挙で選ばれた正当性のない国会議員によって、憲法改正の発議に向かうのは問題だ」と述べた。
参院選の「1票の格差」を巡る近年の最高裁大法廷判決
選挙 最大格差 判断
92年 6.59倍 違憲状態
95年 4.97倍 合憲
98年 4.98倍 合憲
01年 5.06倍 合憲
04年 5.13倍 合憲
07年 4.86倍 合憲
10年 5.00倍 違憲状態
13年 4.77倍 違憲状態 」
衆院選にしても、参院選にしても、毎回、訴訟が提起され、ここ数年、最高裁は、「違憲状態」と判断していますが、違憲状態というのは、国の最高法規である憲法に違反している状態だということを、当のご本人達は、理解しているのでしょうかね。
このような最高裁判決も、弁護士が訴訟を提起・遂行しなければ、言い渡されることはありません。
弁護士に余力がなくなって、得をするのは、誰でしょうか。
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