以下は、朝日新聞デジタル(2016年4月18日)からの引用です。
「卒業式で「君が代」斉唱時に起立しなかったことを理由に定年後の再雇用を拒否されたのは違法だとして、東京都立学校の元教員3人が計約1760万円の損害賠償を都に求めた訴訟で、東京地裁は18日、元教員の請求を棄却する判決を言い渡した。
清水響裁判長は「職務命令より自己の見解を優先させたことが、選考で不利に評価されてもやむを得ない」と述べた。
判決によると、3人は斉唱時の起立を命じた職務命令に違反したとして停職などの懲戒処分を受けた。
これを理由に2011年、定年後の非常勤職員の選考で不合格になった。
判決は、選考について都教委に「広い裁量権がある」と認めた上で、「儀礼的所作を命じた職務命令に公然と違反した者を再雇用しないことが、著しく合理性、相当性を欠くとはいえない」と判断した。
再雇用をめぐっては、東京地裁が昨年5月、元教員22人が起こした別の訴訟の判決で約5370万円を支払うよう都に命じた。
東京高裁は都の控訴を棄却し、上告審で争っている。」
別の訴訟の判決について、以下は、同じく朝日新聞デジタル(2015年5月25日)からの引用です。
「卒業式などで「君が代」斉唱時に起立しなかったことを理由に定年後などの再雇用を拒否されたのは違法だとして、東京都立高校の元教職員22人が、都に計約2億7400万円の損害賠償を求めた訴訟の判決が25日、東京地裁であった。
吉田徹裁判長は「裁量権の乱用で違法」と認め、都に総額約5370万円(1人あたり約210万〜260万円)の支払いを命じた。
訴えたのは、斉唱時の起立を命じた職務命令に違反し、2007〜09年に再雇用を拒否された元教職員。
判決は、元教職員らは「卒業式などを大きく阻害しておらず、違反の程度は重くない」と指摘。
都教委の判断は「不起立を不当に重く見ており、裁量権の乱用だ」と結論づけた。
「ベテランの知識や経験を活用する再雇用制度の趣旨にも反する」と指摘した。
原告の永井栄俊さん(68)は「我々は見せしめにされたが、判決は違法としてくれた。現場への影響は大きい」と喜んだ。
都の中井敬三教育長は「大変遺憾。判決を精査して今後の対応を検討する」との談話を出した。
不起立と再雇用の拒否をめぐっては、06年以前の再雇用拒否が争われた別の訴訟で、東京地裁が裁量権の乱用を認めたが、二審で教職員側が逆転敗訴し、11年に最高裁で確定している。」
最高裁の判決は↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=81351
判断の前提となる事実関係に、何か違いがあるのでしょうか。
そうでなければ、最高裁に右にならえの東京地裁や東京高裁の裁判官が、損害賠償を認めたり、控訴を棄却したりすることは、考えづらいのですが。
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