以下は、YOMIURI ONLINE(2016年03月30日)からの引用です。
「依頼人から預かった現金を着服した業務上横領罪で今月、横浜弁護士会所属の弁護士楠元和貴被告(44)が横浜地裁で懲役4年6月の実刑判決を受けた(控訴中)。
同会は会員の不祥事を未然に防ぐ「適正化対策室」を設置し、再発防止に取り組む。
「被害を受けた方や市民に、深くおわび申し上げる」。
10日の判決後、記者会見した横浜弁護士会の竹森裕子会長は頭を下げた。
判決によると、楠元被告は2012〜15年、成年後見人や遺産分割の交渉代理人などとして預かった現金を126回にわたり口座から引き出すなどし、計約5600万円を横領。
公判で楠元被告は「東日本大震災で業務が滞り、事務所経費などが払えなくなった」と述べ、着服について「甘えがあった。返済できる自信もあった」と振り返った。
事件を重く見た同会は適正化対策室を開設した。
弁護士6人がメンバーで、2人ほどのチームを編成。
市民の苦情などから会員の非行が疑われる場合、会員に詳細に事情を聞くなどして調査を進める。
必要に応じて助言や指導を行うほか、会則違反が判明した際は、懲戒の必要性を検討する綱紀委員会に報告するという。
弁護士個人には本来、権力の監督下に置かれることがない「弁護士自治」が認められている。
同会の執行幹部は「不正の被害拡大を防ぐための苦渋の決断だった」と語る。
同時に、経営難の弁護士へのサポート窓口も設け、経験豊富なベテラン弁護士が助言したり、日弁連の講習を紹介したりする。
弁護士の横領・詐欺事件は全国で後を絶たない。
読売新聞の調査では、13年〜15年11月の約3年間に起訴された弁護士は23人。
被害総額は20億円を超えた。
背景に、弁護士の厳しい業務環境が指摘されている。
日弁連の吉岡毅事務次長によると、近年は裁判件数が減少傾向にある中、司法制度改革による弁護士増で競争が激化し、収入を減らす弁護士が増えている。
また弁護士法は、破産すると弁護士資格を失うと規定しており、収入を大きく減らした際の心理的負担も大きい。
同会の会員もこの10年で、2倍近い1540人(3月28日現在)に増加し、所属弁護士の一人は「楠元被告の事件も人ごととは思えない」と話した。」
依頼者のお金を使い込めば、業務上横領という犯罪であり、法定刑は懲役刑のみ、実刑でなくても、執行猶予付きであっても、弁護士資格を失い、人生を棒に振ることになることは、弁護士であれば、誰でもわかっていることです。
それでも手をつけてしまう弁護士を、助言や指導や講習で、防ぐことができるでしょうか。
沢山ありすぎて、どの事件だったか覚えていませんが、親族が、家裁や弁護士会に何度も苦情を言ったのに何もして貰えず、最後に、蓋を開けてみたら、多額の横領が見つかったという事件があり、このような事件では、被害の拡大を防ぐことはできたと思います。
しかし、圧倒的多数の事件は、深く静かに進行していたのではないでしょうか。
それにしても、「楠元被告の事件も人ごととは思えない」とは、空恐ろしいコメントですね。
司法試験合格者が1500人でも、弁護士は、まだまだ増え続けます↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/419556035.html
ですので、自由競争による自然淘汰は、まだまだ続きます。
一般市民が、次々と取り返しのつかない被害を被ります。
弁護士への信頼も、どんどん下がり続けます。
得をするのは、誰でしょうか。
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