2015年12月03日

連帯保証人に時効中断及ばず 最高裁判断、過払い例も


以下は、京都新聞(2015年11月25日)からの引用です。

「滋賀県信用保証協会が、倒産した不動産会社の連帯保証人の男性に対し、同協会が肩代わりして銀行に弁済した資金を請求した訴訟の上告審判決が25日までにあり、最高裁第1小法廷(山浦善樹裁判長)は連帯保証人に対して資金返済を求める求償権は時効で消滅しているとする判断を示し、協会の上告を棄却した。

男性の代理人弁護士は「本来は時効で払わなくてもいい人が、支払いを求められた例が他にもあるのではないか」と指摘している。

二審判決などによると、野洲市内にあった不動産会社が1990年8月、銀行から計約8500万円を借り入れた後、倒産した。

このため保証人である同協会が弁済した上で、その分の返済を連帯保証人だった元社員の男性(61)=野洲市=らに求め、2012年に提訴した。

協会側は、本来の債務者である会社に対し時効を中断する訴訟を起こしたことで「連帯保証人に対する求償権の時効も中断している」と主張。

これに対し男性側は協会が男性に対して訴訟を起こしていないため「協会の求償権は時効で消滅した」と主張していた。

これについて最高裁の山浦裁判長は、会社に対する時効中断訴訟の効果は連帯保証人には及ばないとの判断を示し、同協会には男性に対し資金を請求する権利はないとする二審の判断を支持した。」




早速、裁判所のホームページに掲載されていました↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=85486

本来の債務者に対する判決により、保証債務の時効期間も10年に伸張されるけれども↓、別途、他の保証人に対する訴え提起等の時効中断の措置をとらなければ駄目だということなのですね。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=66679
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=61997

それにしても、なぜ、信用保証協会は、両者に対して、同時に訴え提起しなかったのでしょうかね。

ちなみに、債務者側が、時効消滅していることを援用しなければ、裁判所は、そのことを斟酌することができないことになっており、そのまま判決が出て確定してしまえば、消滅時効を援用することはできなくなります。

判決が出ていなくても、時効完成後に債務の一部でも支払ってしまうと、債務を認めたことになってしまい、消滅時効を援用できなくなるのが原則です。

こういうことをわかっていて、消滅時効期間を経過した債権を二束三文で買い取って、訴訟を提起したり、支払督促の申立てをする業者もいますし、「1,000円でもいいから」と支払わせようとする業者もいます。

お気を付け下さい。

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posted by 森越 壮史郎 at 18:28| Comment(0) | TrackBack(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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