以下は、朝日新聞デジタル(2015年11月19日)からの引用です。
「解散したアイドルグループ「光GENJI」の元メンバーで俳優の大沢樹生さん(46)が、元妻で俳優の喜多嶋舞さん(43)との結婚中に生まれた長男(18)について、大沢さんとの親子関係がないことの確認を求めた訴訟で、東京家裁(蓮井俊治裁判官)は19日、親子関係がないことを認める判決を言い渡した。
民法は子どもの法的な身分を安定させるため、「結婚後200日を経過して生まれた子は、夫の子と推定する」(嫡出〈ちゃくしゅつ〉推定)と定めている。
201日目以降に生まれた子に、この規定が適用される。
この日の判決は、長男が生まれたのは大沢さんと喜多嶋さんの結婚後ちょうど200日目だったことから、「民法による嫡出推定を受けない」と指摘。
1日の違いで大沢さんの子という推定を受けないと判断した。
さらにDNA鑑定でも「生物学的父親でない」との結果が出ていることから、「長男は大沢さんの子でないと認めるのが相当」と結論づけた。
大沢さんと喜多嶋さんは1996年に結婚。
その後、離婚した。」
この事件の続報ですが↓、結婚前の話だったのですね。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/427872953.html
結婚前なら、不貞行為ではないので、これ以上の話にはならないのでしょうか。
それとも、「あなたの子供よ」と言われて結婚したのだとすれば、その方が、むしろ酷いという話になるのでしょうか。
ちなみに、裁判所のホームページには掲載されていませんが、東京高等裁判所平成21年12月21日判決は、以下のように判示しており、上告、上告受理申立てがなされたものの、上告棄却、上告受理申立不受理となっているそうです。
「控訴人が相当額の上記養育費を支出したことは事実であり、これをすべて否定することはできないのであるが、そうであるとしても、かかる養育費相当額を目的とする不当利得返還請求は法規範の要請と相容れないというべきものであり、かかる請求を容認することはできない。
すなわち、まず、控訴人がAの養育費を支払ったのは被控訴人との婚姻関係の継続中のことであるところ、法律上控訴人は、妻である被控訴人と嫡出子の推定を受けるAに対し婚姻費用を負担し(民法七六〇条)、上記養育費用もその一部として支払われていたのであるから、これは被控訴人及びAのいずれとの関係でも法律上の原因に基づいて支払われていたものであり、ここに不当利得の観念を入れる余地はなく、上記養育費相当額について不当利得にかかわる損失ないし利得を観念することができない。
また、控訴人の主張に照らしても、上記費用は専らAの養育に投じられたものというべきであり、したがって被控訴人がその利得を得たものでないことは明らかであるから、この点からも被控訴人に控訴人が支払った養育費相当損害に対応する利得を得ていることを観念することはできない。
そして、何よりも、不当利得の法理は、公平の理念に基づき、法律上の原因なく生じた利得者と損失者間の均衡を図ろうというものであるが、それは一方が利得し他方がその結果損失を被っている状態を放置しておくことを正当としない状態、すなわち全法秩序が是認しない違法状態とみてこれを是正しようとするものと解される。このような不当利得における違法状態があるかを本件についてみる。取調済みの全証拠及び弁論の全趣旨によれば、控訴人とAの関係は、少なくとも同人が実子ではないことが発覚するほぼ成人に達する年齢までは父と息子として良好な親子関係が形成されてきており、その間控訴人は、実子という点を措いてみても、Aを一人の人間として育て上げたのであり、その過程では経済的費用の負担やその他親としての様々な悩みや苦労を抱えながらも、これらのいわば対価として、Aが誕生し乳幼児期、児童期、少年から大人への入り口へと育っていく過程に子を愛しみ監護し養育する者として関わりながら、その成長の日々に金銭には代えられない無上の喜びや感動をAから与えられたことは否定できるものではあるまい。また、養育を受けたことにつきAには何らの責任はない。このように見てみると、控訴人がAに養育費を投じた結果に是正をしなければ法規範の許容しない違法な不均衡状態があるなどと解することはできない。
むろん、自らの不貞行為によりもうけた他人の子をそうとは知らせないままいわば騙して控訴人にわが子として育てさせた被控訴人の責任は軽くはないが、これにより控訴人に与えた精神的、財産的損害の回復を図る民事法上の法理としては不法行為法理が用意されているのであり、これにより責任を取らせるべきものである。」
婚姻期間中で嫡出推定を受けるこの事案と、ギリギリですが嫡出推定を受けない本件とでは、結論に違いはあるのでしょうか。
さて、どうなるのでしょうか。
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