以下は、朝日新聞デジタル(2015年9月30日) からの引用です。
「「交際禁止」のルールを破ったアイドルグループの少女に、マネジメント会社が損害賠償を求めた訴訟で、ルールは妥当とする判決が出た。アイドルが売れるためには「恋愛の自由」を縛る必要があるのか?
特集・アイドル情報局
東京地裁であった9月18日の判決によると、当時15歳だった少女は2013年3月、マネジメント会社と専属契約を結び、「異性との交際禁止」などの規約を告げられた。7月に6人組のグループとしてデビュー。ライブやグッズ販売などで220万円を売り上げたが、10月に男性と映った写真が流出して交際が発覚。会社はグループを解散した。
判決で児島章朋裁判官は、アイドルとは芸能プロダクションが初期投資をして媒体に露出させ、人気を上昇させてチケットやグッズなどの売り上げを伸ばし、投資を回収するビジネスモデルと位置付けた。
その上でアイドルである以上、ファン獲得には交際禁止の規約は必要で、交際が発覚すればイメージが悪化するとした。会社がグループの解散を決めたのも合理的で、少女に65万円の支払いを命じた。ただ、会社側の指導監督が十分ではなかったとも指摘し、賠償額は、請求の約510万円から、大幅に減額した。
そもそも恋愛の自由を縛っていいのか。芸能関係の法律問題に詳しい太田純弁護士は「『24時間どんな指示にも従う』とか、一見して公序良俗に反する規約なら無効だが、『恋愛禁止』の規約そのものは即無効ではない」と指摘する。私生活を縛る必要性や本人が得られる対価、事務所と本人が対等な関係かなど総合的に判断されるという。
ある人気アイドルグループのマネジャーによると、ダンスのレッスン料などを負担して、手塩にかけて育てたアイドルの「熱愛発覚」は、グループ全体の人気やスポンサーとの契約にも影響が及ぶという。「恋愛が公になればアイドルの世界は成り立たない。判決は、恋愛を踏みとどまるきっかけになる」と話す。
名古屋から東京・秋葉原までよく来るアイドルファンの会社員の服部和幸さん(37)も「応援するアイドルが恋愛していたら、事務所よりも、むしろこっちが訴えたいぐらい」と話す。アイドルファンの女性(35)も「年頃の若者が恋をするのは無理もない。でも、アイドルの一生懸命さを応援しているので、隠れて恋をしていたと分かれば気持ちは冷めてしまう」と手厳しい。
一方、判決は会社の指導監督も不十分だったと指摘した。あるご当地アイドルグループのプロデューサーは「どこまで管理できるかは難しい」と話す。握手会の時に、ファンから「プレゼントを贈りたい」と住所を尋ねる手紙を手渡されることもある。「預けてくれるかどうかは、本人次第。隠れてやりとりされたらどうしようもない」
アイドルが続々と誕生するブームの中で、冷めた意見もある。大阪から頻繁に秋葉原に来る男性(26)は「アイドルの恋愛は珍しいことじゃないけど、裁判にまでなるのかと驚いた」と話す。仕事というよりも部活感覚のアイドルも多いという。「裏切られたというよりも、よくあることだと達観していました」
アイドルに詳しい評論家の中森明夫さんは「裁判沙汰にまでなったのはアイドル界にマイナスイメージを与えた」と見る。かつてテレビの中の遠い世界だったアイドルが握手会やライブ中心の身近な存在になり、5千人とも1万人とも言われる「誰でもアイドル」の時代が到来しているという。「我が子を訴えるような業界に自分の子を入れたいと思う親はまずいない。裁判をきっかけに、まだ40年余りと歴史の浅いアイドル業界が成熟する機会にしてほしい」と話す。」
恋愛禁止が公序良俗違反にあたるかどうかについては、色々な見解があるように思います。
また、恋愛禁止を会社が指導監督できるのかどうかは、何とも言えないところがあります。
ただ、会社としては、規約は単なる脅しではないということを示したかったのだと思いますし、控訴することによるマイナス効果の方が大きいように思いますので、控訴しないのではないでしょうか。
少女側は、どうするのでしょうか。
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