以下は、毎日新聞(2015年08月19日)からの引用です。
「強姦(ごうかん)罪などで懲役12年が確定し、服役中に被害証言が虚偽と判明して釈放された大阪府内の70代男性の再審初公判が19日、大阪地裁(芦高源裁判長)で始まった。
男性は「無実です」と起訴内容を否認した。
検察側は無罪判決を求め、即日結審する見通し。
男性は2004年と08年に当時10代だった女性に自宅で性的暴行をしたとして、08年に強姦・強制わいせつの罪で大阪地検によって起訴された。
男性は一貫して否認を続けたが、大阪地裁は「暴行された」などとする女性の証言の信用性を認め、懲役12年を言い渡した。
弁護側は控訴審で、「診察を受けた」とする女性の母親の調書を基に診療記録の証拠開示を請求したが、検察側は「ない」と回答。
高裁は控訴を棄却し、11年4月に最高裁で刑が確定、男性は服役した。
しかし、女性は昨年になって被害を受けていないと証言を翻し、弁護側が9月に再審請求。
地検の再捜査で、性的暴行を受けた痕跡がないとする告訴当時の診療記録も見つかった。
地検は無罪の可能性が高いとして、11月に刑の執行を停止し、男性を釈放。
男性の身柄拘束は逮捕から約6年に及んだ。
地裁は今年2月、再審開始の決定を出した。
男性は初公判で「(逮捕・起訴され有罪となった)過ちを解明してほしい」と主張した。弁護側は取り調べ検事らの証人尋問を求めたが、却下された。」
以前、ブログでとり上げたような気がしていましたが、気のせいだったようです。
という訳で、以下は、朝日新聞デジタル(2015年2月27日)からの引用です。
強姦事件の再審決定 診療記録、証言と矛盾 大阪地裁
「強姦(ごうかん)されたという女性の訴えとは矛盾する診療記録があったのに、女性の証言をもとに起訴された男性の裁判で審理対象になっていなかったことがわかった。
無罪を主張した男性の実刑判決が確定し、服役中に診療記録の存在が判明。
大阪地検が昨年11月に刑の執行を停止する異例の措置につながった。
大阪地裁(登石〈といし〉郁朗裁判長)は27日、「無罪を言い渡すべき新証拠がある」とし、再審開始の決定を出した。
関係者によると、男性は大阪市内で2004年と08年に同じ女性を襲い、同年にもこの女性の胸をつかむなどしたとして強姦と強制わいせつの罪で逮捕、起訴された。
男性は「やっていない」と主張したが、09年の大阪地裁判決は懲役12年の実刑を言い渡した。
大阪高裁が控訴を棄却し、11年には最高裁が上告を退けて確定した。
その後、控訴審で弁護を担当した弁護人が女性や事件の目撃者とされた家族から聞き取り調査。
2人が確定判決の根拠となった被害証言を「うそだった」と翻したため、昨年9月に再審を請求した。
地検も2人が虚偽の証言をしていたことに加え、「男性が事件に関与していないと示す『客観的証拠』も確認した」として、昨年11月18日に男性の刑の執行を止めて釈放したと発表した。
男性の服役は約3年6カ月に及んだ。
この「客観的証拠」について、地検は「関係者のプライバシー」を理由に明らかにしていなかった。
これに対し、朝日新聞が取材を進めたところ、性的被害を訴えた女性を当時診察した医師の診療記録だったことが判明。
記録には「女性の体内には性的被害の痕跡はない」という趣旨の見解が書かれていた。
捜査段階で女性の母親が「娘を医療機関に連れて行った」と説明していたことを踏まえ、弁護人は控訴審で「診療の記録があるはずで、検察側は公判に出すべきだ」と求めた。
しかし、検察側は「ない」と回答。
女性らを改めて証人として法廷に呼び、尋問するよう求めた弁護人の請求を高裁も却下していた。」
致傷罪ではないので、公訴提起に診断書は必須ではないとはいえ、捜査段階で女性の母親が「娘を医療機関に連れて行った」と説明しているのに、誰も診療記録を確認しようとしなかったのですね。
加害者とされる男性の弁護人は、被害者とされる女性の診療記録など、取り寄せようがありません。
この事件では、検察官か裁判官が、感心を示すというか、職責を果たして頂かないと、どうしようもありません。
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