以下は、毎日新聞(2015年07月14日)からの引用です。
「両親の死亡を隠して年金を不正受給したとして詐欺罪などに問われた岐阜県恵那市長島町の無職、鈴木光枝被告(86)の初公判が14日、岐阜地裁多治見支部(鈴木雄輔裁判官)であり、鈴木被告は「間違いありません」と起訴内容を認めた。
検察側は懲役4年を求刑して結審した。
判決は8月18日に言い渡される。
検察側の冒頭陳述によると、鈴木被告は父の誕生日が来る毎年2月、父母が生きていると装った現況届を日本年金機構に郵送。
現況届に市長の公印が必要だった1997年までは、自宅にあった父の名前の入った角印を押して公印を装っていたが、旧社会保険庁側に気付かれなかったという。
起訴状などによると、鈴木被告は母が1965年に60歳で、父が68年に65歳でそれぞれ死亡したにもかかわらず、生存していると装った現況届を日本年金機構に提出し、2008〜14年、計39回にわたり現金計約938万円をだましとったとされる。
鈴木被告は年金を約50年間にわたって約5100万円不正受給していたとみられるが、大半は公訴時効(7年)が成立している。」
修習生の時ですから20年以上前の話になりますが、初犯で、財産犯で、実刑になるか執行猶予になるかの目安は、被害額が300万円という話を、裁判官から聞いた記憶があります。
勿論、被害弁償の有無等もありますので、飽くまで、一応の目安に過ぎないのでしょうが。
懲役刑で執行猶予を付すことができるのは、懲役3年までですから、検察官が、懲役4年を求刑しているのも、実刑相当という意見になると思います。
それにしても、母親が1965年、父親が1968年に死亡し、その後1997年までは、市長の公印が必要だったのに、自宅にあった父親の角印を押して提出しても、10年前後も気付かなかった社会保険庁って、何なんでしょうか。
2014年までということになると、1965年に60歳で死亡した母親は99歳、1968年に65歳で死亡した父親は101歳ということになると思いますが、幾ら長寿大国とはいえ、そこまで行かないと、不自然だとは思わないものでしょうか。
しかも、公印を不要としたことにより、不正が助長されたのではないでしょうか。
公印を不要としたのは、高齢受給者の負担に配慮したとのことだそうで、それはそれで良いことかも知れませんが、であれば、不正防止のために、何らかの代替措置を取るのが、普通なのではないでしょうか。
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