以下は、産経WEST(2015.6.26)からの引用です。
「平成25年に大阪府警北堺署に誤認逮捕され、85日間の勾留後に起訴が取り消された男性会社員(44)が国家賠償を求めた訴訟で、国と府に計620万円を命じた大阪地裁判決について、国と府は26日、それぞれ控訴しないと明らかにした。
府警の捜査と検察の起訴を違法とした判決が確定する。
大阪地検の北川健太郎次席検事は「検察としても反省すべき点が少なくない。このような判決が出されたこと自体を重く受け止め、一層の捜査・公判の適正確保に努めたい」とのコメントを出した。
今月15日の地裁判決は、府警や検察が男性を犯人と特定した防犯カメラの記録などに時間のずれがあったにもかかわらず、捜査を尽くさなかった点を違法と判断していた。」
この事件↓の続報ですが、判決が出ていることに気が付きませんでした。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/389664997.html
という訳で、以下は、朝日新聞デジタル(2015年6月15日)からの引用です。
大阪府警誤認逮捕、国と府に賠償命令 地裁判決
「大阪地裁は15日、大阪府警北堺署と大阪地検堺支部に窃盗容疑で逮捕・起訴され、のちに無実と判明した男性会社員(44)=堺市=にずさんな捜査や85日間の身柄拘束で精神的苦痛を与えたとして、国と府に慰謝料など計約620万円の賠償を命じる判決を言い渡した。
植屋伸一裁判長は「裏付け捜査を尽くさず、取り調べで人格を非難した」と述べ、逮捕・起訴はいずれも違法と判断した。
判決によると、2013年1月12日〜13日に堺市内の駐車場で他人の車から給油カードを盗み、それを使って13日に市内のセルフ式給油所でガソリン24・8リットル(3479円分)を自分の車に給油して盗んだ疑いを男性はかけられた。
北堺署は、給油カードが使われた際の領収書の控えから犯行時刻を特定。
給油所の防犯カメラ映像から、その時間帯に給油した男性を「容疑者」と判断した。
署は13年4月にカード窃盗の疑いで逮捕し、5月にガソリン窃盗容疑で再逮捕。
地検堺支部が6月、ガソリン窃盗の罪で起訴し、カード窃盗容疑は不起訴(嫌疑不十分)とした。
しかし、男性の車が犯行時刻の1分後、給油所から6・4キロ先の高速道路入り口を通過した履歴がETCカードに残り、給油所の防犯カメラは表示時刻が8分進んでいたといった新事実が弁護人の調査で判明。
検察は同7月に起訴を取り消した。
その後、男性の6分後に給油した男(41)が真犯人として逮捕・起訴され、実刑が確定した。
判決は、警察が防犯カメラの表示時刻が正しいか確認し、給油所の売り上げ記録から男性の前後に犯人の可能性がある人物がいないかを調べていればミスは防げたと指摘。
男性が一貫して否認していたのにアリバイを示すETC記録に気づかず、「通常要求される水準の捜査をする義務を欠く過失があった」と述べた。
そのうえで、府警の取調官が「お前はずっと悪人でいくのか」などと自白を迫ったことは「人格を非難するもの」として違法と判断。
検察も警察の捜査報告書に依存し、男性の言い分を踏まえた捜査を尽くさなかったとして起訴は違法と結論づけた。」
私人である弁護人1人の調査で、簡単に誤認逮捕だったことが判明した訳ですから、最高裁昭和53年10月20日判決↓に照らしても、違法であることは明らかですよね。
http://www.courts.go.jp/search/jhsp0030?hanreiid=53226&hanreiKbn=02
コメントを出した大阪地検の北川健太郎次席検事は、私の修習生時代の指導担当でしたが、色々大変ですね。
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