以下は、YOMIURI ONLINE(2015年06月18日)からの引用です。
「最高裁が、民事訴訟の1審について、裁判官3人による合議の対象となる訴訟を拡大する方向で各地裁と協議することが分かった。
合議の割合は現在5%弱だが、18、19日に全国の地裁所長らが裁判運営の課題を話し合う会議で必要な態勢などを検討する。
情報技術(IT)や、金融商品での消費者被害などを巡って難しい訴訟が増える中、3人による議論で判断の質を高める狙いがある。
各地裁では、多くの民事訴訟を裁判官1人の「単独」で処理し、合議での審理は国家賠償や名誉毀損などの重要訴訟に限定してきた。
昨年は全国の約14万1000件のうち、合議は4・9%の約6900件だった。
合議拡大の対象になりそうな訴訟は、複雑な金融商品で損失を出した顧客が業者を説明義務違反で訴えるケースや、システム開発を巡る賠償請求など。
証拠が乏しくて判断の難しいことが多い遺言の有効性に関する訴訟、NHKの受信料不払いを巡る訴訟なども、影響が大きいため対象になりやすいとみられる。」
私が修習生だった時に、若い裁判官と飲んで話す機会がありましたが、ある裁判官は、「何で難しい合議事件ばかりやらされるのか」と嘆いていました。
つまり、裁判官になって5年経たない未特例判事補は、単独事件を持つことはできず、合議事件に関与することができるだけです。
一方、ベテランの裁判官は、合議事件以外にも、単独事件を持っています。
ですので、いきおい、合議事件のたたき台を作るのは、未特例判事補の仕事となる訳ですが、合議事件ですから、当然、難しい訳です。
さて、今回の合議対象拡大の本当の狙いは、3人による議論で判断の質を高めるためなのでしょうか。
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