以下は、産経WEST(2015.6.9)からの引用です。
「依頼先の建設会社からの預かり金約2億5000万円を着服したとして、大阪地検特捜部は9日、業務上横領の疑いで、大阪弁護士会所属の弁護士、久保田昇容疑者(62)=大阪市中央区=を逮捕した。
特捜部は認否を明らかにしていない。
逮捕容疑は平成21年10月〜23年4月、建設会社から預かっていた現金約2億4840万円を128回にわたって久保田容疑者の個人名義の口座に移し、着服したとしている。
建設会社は新潟市に本社があり、久保田容疑者は同社大阪支店の顧問弁護士。
同社が損害賠償を命じられた民事訴訟の代理人を務め、判決確定前の強制執行停止の申し立てに必要な供託金を実際より多く会社側に送金させたとみられる。
出金額は多い時で600万円に上ったという。
所属事務所のホームページなどによると、久保田容疑者は昭和58年に弁護士登録。
事務所の代表として相続問題や債権回収など、主に民事上のトラブルを取り扱っていた。
地検は先月26日、同容疑で久保田容疑者の事務所や自宅など関係先を家宅捜索。
立件に向け捜査を進めていた。
大阪弁護士会の松葉知幸会長は「事実であれば極めて悪質で、到底許されない。残念というほかない」とのコメントを出した。」
この記事↓の大阪の事件の続報ですが、数千万円どころか、2億5千万円ですか。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/419798046.html
判決確定前の強制執行停止の申し立てに必要な供託金を実際より多く会社側に送金させたというのが事実だとしたら、その時点で詐欺(既遂)罪が成立し、その後、現金を個人名義の口座に移したのは、不可罰的事後行為である、と書かなければ、司法試験には、合格できないと思うのですが。
ところで、仮執行宣言付の判決に対する強制執行停止のための担保金(供託金)の金額は、判決で認容された金額の8割程度が相場と言われています。
依頼者が相場を知らないとしても、認容額を遥かに超えるような金額を供託しなければならないと言われれば、どう考えてもおかしいと思う筈ですので、実際に供託した金額との差が、2億5千万円近くもあるというのか事実だとしたら、数十億円とか、百億円超とかの認容額の敗訴判決ということだと思います。
別に、この弁護士の肩を持つつもりはありませんが、逆転勝訴の可能性があるかどうかはともかくとして、100億円とかの敗訴判決に対する控訴と、合わせて執行停止の申立てを受任したとして、着手金として、2億5千万円を受領したとしたら、何らかの犯罪になるのでしょうか。
担保金の金額は、裁判所との協議により、口頭で決まるにしても、強制執行停止決定には、その金額が書いてあります。
例えば、取引銀行の預金口座に強制執行されれば、銀行取引約定により、取引停止処分になりますので、依頼者にとっては、強制執行停止決定が出たかどうかは、企業生命を左右する大問題で、決定書を依頼者に見せないということは、およそ、考えられません。
決定書を切り貼りして金額を上乗せしてコピーしたというこであれば、公文書偽造・同行使罪もついて、合わせ技で一本で、間違いありませんが。
しかし、既に手元にあるお金を着服する業務上横領罪と、敢えて金額を上乗せして請求する詐欺罪とでは、余りにもハードルの高さが違い過ぎて、想像するのが困難です。
まあ、何億円もの詐欺の片棒を担ぐ弁護士も出ていますので、私の想像を遥かに超えた世の中になっているのかも知れませんが↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/380627552.html
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