以下は、朝日新聞デジタル(2015年5月29日)からの引用です。
「司法試験の合格率が低迷している法科大学院について、政府は28日、今後は強制的に閉校させることも含めて対応する方針を示した。
法曹界を志願する人の減少を食い止めるためには、各校の教育レベルの上昇も不可欠と判断した。
すでに文部科学省が低迷校への補助金削減を決め、自主的に募集停止する大学院が相次いでいるが、いっそうの淘汰(とうた)が進むとみられる。
方針は政府の法曹養成制度改革顧問会議で政府案として示された。
学校教育法に基づき、問題のある学校には文科相が改善勧告、問題点の変更命令、組織の廃止(閉校)を段階的に命じることができる。
今回の方針は、司法試験の合格率低迷などを判断材料にこうした対応をとることを想定している。
ただ、その実現には法科大学院の設置基準の見直しなどが必要で、今後具体的な検討に入る。
2018年度までの改革を目指す。
法科大学院は、多様な人材を受け入れながら法律家を増やす目的で04年度に発足し、ピーク時には74校があった。
しかし、25校が廃止か募集停止の公表に至った。
修了後に司法試験の受験資格が得られる仕組みだが、合格率の低迷などから志願者が激減。
一方で修了しなくても受験資格を得られる予備試験の受験者が増えている。
顧問会議では、予備試験の具体的な見直しについて、検討を続けることにしている。」
続いて、以下は、毎日新聞(2015年05月30日)からの引用です。
山梨学院大:来年度から法科大学院の募集停止 存続困難と判断か /山梨
「山梨学院大は29日、2016年度からの法科大学院の学生募集を停止する方針を決めた。
入学者数が伸び悩み、国からの補助金も削減されたことなどを踏まえ存続が困難と判断したとみられる。
近く正式に公表する。
同大法科大学院は04年に開設し、初年度は45人の学生が入学した。
県内唯一の法曹養成機関として、10年度の14人など、これまで80人の司法試験合格者を輩出してきた。
しかし、14年度は同試験の合格率が12・77%(全国平均21・19%)と低迷。
15年春の入学者数は6人となり、文部科学省が昨年9月に、打ち出した試験の合格率や定員充足率などを基にした大学院への補助金大幅カットにより、今年度の補助金が4割削減されていた。
法科大学院は、法曹人材を確保するための司法改革の要として04年に始まった。
しかし、大学院ごとの教育水準の格差が目立ったこともあり、文科省が補助金の算定方法の見直しに乗り出した。
これまで国立私立合わせて20校以上が募集停止を公表していた。
同大は6月1日に記者会見を行い停止に至った経緯や、在学生などへの今後の支援策などについて説明する。」
更に、以下は、毎日新聞(2015年06月02日)からの引用です。
神奈川大:法科大学院の募集を停止
「神奈川大(横浜市神奈川区)は2日、2016年度から法科大学院の学生募集を停止すると発表した。
定員割れの状態が続き、15年度の入学者は6人(定員16人)にとどまっていた。
文部科学省によると法科大学院の廃止、募集停止は27例目。
同大法科大学院は04年に開設されたが、これまでの司法試験合格者は46人(平均合格率11・5%)だった。
石積勝学長は「地域に根ざして活躍する法律家の養成を目指してきたが、将来の見通しを確保できない」などとするコメントを出した。
在籍者の修了までは存続するという。」
なぜ、司法試験の合格率が低迷している法科大学院を強制的に閉校させると、法曹界を志願する人の減少を食い止めることができるのか、全くわかりません。
別に、強制閉校などしなくても、入学する価値がないと判断された法科大学院は、自然淘汰されて行くのではないでしょうか。
様々なリスクを覚悟の上で、そのような法科大学院に入学しているということは、より上位の法科大学院には合格できなかったという人が多いのではないかと思われ、そのような人が、法科大学院への入学を断念するだけの話ではないでしょうか。
そもそも、法曹界を志願する価値がないと判断されれば、減少を食い止めることはできません。
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