先日届いた判例時報2252号の61頁に、行政書士が、交通事故の被害者との間で締結した自賠責保険の申請手続、書類作成及びこれに付随する業務に関し報酬の支払を受ける旨の契約が、弁護士法72条に違反し無効であると判示した大阪高裁平成26年6月12日判決が掲載されていました。
「将来法的紛議が発生することが予測される状況において控訴人が行った書類作成や相談に応じての助言指導は、いずれもそもそもそ行政書士の業務(行政書士法1条の2第1項)に当たらず、また、弁護士法72条により禁止される一般の法律事件に関する法律事務に当ることが明らかであるから、行政書士が取り扱うことが制限されているものである。」とのことです。
これは、刑事事件としての弁護士法72条違反の罪の成否が問題となった最高裁平成22年7月20日決定↓が、「交渉において解決しなければならない法的紛議が生ずることがほぼ不可避である案件に係るものであって、弁護士法72条にいう「その他一般の法律事件」に関するものというべき」と判示しているのを踏まえての判断だそうです。
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=80472
行政書士側は、上告・上告受理申立を行ったものの、上告棄却・上告不受理だそうです。
先日、報道もありましたが↓、このように、弁護士法違反(非弁行為)の問題は、民事・刑事の双方で問題となります。
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/419273821.html
昔々、私が、非弁委員会に所属していた時代には、「交通事故による損害賠償額は、赤本や青本という明確な基準に従い算定されるので、法的紛議ではない。」というようなことが書いてあるホームページもありましたが、さすがに、今は、ないですかね。
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