以下は、毎日新聞(2015年04月28日)からの引用です。
「◇「違憲状態」12件 「違憲」は1件 「合憲」が4件
「1票の格差」が最大2.13倍だった2014年12月の衆院選を巡り、二つの弁護士グループが全国14高裁・支部に選挙無効を訴えた訴訟は、広島高裁岡山支部が28日、違憲状態との判断を示し、17件の判決が出そろった。
違憲状態は12件に上ったが、違憲判決は福岡高裁の1件にとどまり、4件は合憲だった。
抜本改革の先送りに対する厳しい指摘の一方で、国会の是正に向けた取り組みを一定程度評価する判断も目立った。
今後最高裁が統一判断を示す。
最高裁は、09年衆院選を巡る11年3月の判決で、小選挙区の議席を各都道府県にまず1ずつ配分する「1人別枠方式」について、「立法時の合理性は失われている」と廃止を迫った。
国会は12年の衆院解散直前の法改正で、選挙区定数の「0増5減」とともに別枠方式の規定を削除した。
14年選挙前には「衆議院選挙制度に関する調査会」が設置され、今も議論が続いている。
今回は、こうした動きをどう評価するかが主な争点となった。
違憲判断を示した福岡高裁は「規定を削除しても、実質的には別枠方式の構造的な問題が解消されないまま選挙戦に臨んだ」と述べて区割りを違憲状態と判断。
さらに、格差是正のために必要な合理的期間の起算点は11年3月の最高裁判決だとして「既に3年9カ月が経過しており、国会の裁量の行使として相当でない」とした。
違憲状態にとどまった判決も、大半は福岡高裁同様、格差の抜本的な解決はなされていないとしつつ、違憲には踏み込まなかった。
広島高裁松江支部は、調査会の議論が続いている点を評価し、「是正のための合理的期間を過ぎたとは判断できない」と指摘した。
12年衆院選に対する13年11月の最高裁判決が「段階的見直しを重ねて是正することも国会の裁量だ」と指摘したことが背景にある。
一方で東京高裁(3月25日)も違憲状態にとどめたが「国会の裁量を最大限考慮しても、国会が是正完了目標としている16年12月が合理的な期間として認められる最大限度」とクギを刺した。
最高裁に違憲状態と指摘されたまま行われた12年衆院選に対する高裁・支部の判断は、初の違憲・無効が2件、違憲・有効12件、違憲状態2件。
合憲とした判決はなかったが、今回は「格差は2倍を少し超える程度で、投票価値の平等に反していたとはいえない」(東京高裁3月19日判決)などとして4件が合憲判断を示した。」
判決が出揃うまでに、思ったより日数ががかかりましたね↓
http://morikoshisoshiro.seesaa.net/article/411075580.html
飽くまで努力規定ではありますが、公職選挙法213条1項は、「訴訟の判決は事件を受理した日から100日以内に、これをするように努めなければならない。」と定めているのですが。
全国の裁判官に影響を与えそうな東京高裁が、先んじて合憲判断を出し、その後、100日を過ぎて、しかも裁判官の異動がある3月末を過ぎてから、言い渡された判決も少なくなかったのは、単なる偶然ですよね。
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