以下は、朝日新聞デジタル(2015年4月5日)からの引用です。
「身寄りのない認知症のお年寄りらの財産や生活を守るため、市区町村長(首長)がやむなく家庭裁判所に「成年後見」を申し立てた件数がこの5年で2・3倍に急増したことが朝日新聞の調べで分かった。
認知症高齢者の孤立化が進んでいる実情が浮き彫りになった。
認知症などで判断力が不十分になった人に代わり、親族や弁護士らが財産管理などを担う「成年後見制度」の申し立て状況について、朝日新聞が全国50の家裁に聞いた。
2014年に家裁の判断が出た総数は計3万4205件で、前年からほぼ横ばいだった。
このうち、市区町村長による「首長申し立て」の件数は前年より11%多い5596件だった。
09年は2471件だったが、年々増え、全体に占める首長申し立ての割合は09年の9%から16%に上がった。
都道府県別では東京(894件)や大阪(525件)が多く、首長申し立ての比率は山形(34%)、徳島(30%)、山梨(30%)の順に多かった。
成年後見は、親族による申し立てが基本だ。
たとえば一人暮らしで財産管理が難しくなった認知症の人の情報を、近所の人や民生委員らを通じて市区町村が把握した場合も、原則、市区町村が親族を探して申し立ててもらう。
後見人がつかないと、公共料金を支払えず生活できなくなったり、悪質な商法にだまされたりする恐れがあるからだ。
だが、親族が見つからなかったり、親族がいても申し立てに協力してくれなかったりする場合、首長が代わって家裁に申し立てることができる。
認知症の親の年金を子が使い込んだり、施設の利用契約ができずにいたりするケースも首長申し立ての対象となる。
首長申し立てが増える背景には、身寄りのない認知症高齢者の増加や、自治体が親族に申し立てを促しても親族から拒まれるケースが増えていることがある。
ただ、首長申し立てには手続きのノウハウが必要で、手間もかかるため、同じ人口規模の自治体でも申立件数はばらつきがある。
必要な支援が行き届かない認知症の人も少なくないとみられている。
<視点>支援の制度、周知を
認知症で身寄りがいない高齢者の暮らしや財産が、自治体の支援によって守られることがある。
放置すると孤独死する可能性もある人たちだ。
しかし支援を受けられる人は限られている。
認知症高齢者は推定で500万人近くいて、一人暮らしも増えているとみられるが、成年後見の利用は17万人にとどまる。
自治体に助けられるのは運がいいケースともいえる。
親族も地域の人たちも気づかず、「SOS」の声さえ上げられない認知症の人たちは多いだろう。
まずは、首長申し立てで救済される制度があることを周知して、地域の人たちが自治体に相談する道筋をつけるとともに、自らの老後が心配な人は早めに成年後見の準備をする必要がある。
自治体も、孤立した認知症の人への支援に積極的に乗り出すべきだ。
<成年後見制度>
認知症や知的障害、精神障害などで判断力が不十分になった人を支援する制度で、2000年に始まった。
親族や弁護士などの専門職らが成年後見人となり、本人に代わって金銭管理や介護・医療に関する契約などを行う。
利用者数は13年末で17万6564人。」
後見開始の審判の請求権者は本人、配偶者、4親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人または検察官ですが(民法7条)、市町村長も、65歳以上の者、知的障害者、精神障害者につきその福祉を図るため特に必要があると認めるときは後見開始の審判を請求することができるのだそうです(老人福祉法32条、知的障害者福祉法28条、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律51条の11の2)。
このような法定後見の場合、ご本人は「精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況」にあるので、ご本人の意向とは関係なく、後見人が選任されることになります。
でもって、使い込みなどされようものなら、たまったものではありませんよね。
ご自分の意向を反映させたいのであれば、信頼できる人物と、事前に任意後見契約をしておくという方法があります↓
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H11/H11HO150.html
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