以下は、朝日新聞デジタル(2015年3月27日)からの引用です。
「札幌ドーム(札幌市豊平区)でプロ野球の試合を観戦中、ファウルボールに当たって右目を失明した札幌市の30代女性が、主催者の北海道日本ハムファイターズとドームを所有する札幌市などに約4700万円の損害賠償を求めた訴訟で、札幌地裁は26日、球団などに約4200万円の支払いを命じた。
長谷川恭弘裁判長は「ドームの設備は、観客の安全を確保するのに十分ではなかった」と指摘した。
判決によると、女性は2010年8月、家族で一塁側内野席の前から10列目で日本ハム―西武戦を観戦中、家族の様子をうかがうために目を離した直後にファウルボールが顔面を直撃し、右目を失明した。
判決で、長谷川裁判長は、ドームの管理は内野席の防球ネットを取り外すなど臨場感の確保に偏っていたと指摘。
打球が女性の座席に到達するまでは約2秒だったと認定した上で、アナウンスなどで打球への注意喚起をしていたが「わずかな時間で打球を避けるのは不可能。防球ネットなどの安全設備を設ける必要があった」とした。
原告の女性は判決後の会見で「球場の安全対策を強化してほしい」と話した。
球団は「プロ野球観戦の臨場感が失われることを懸念する。野球界全体に及ぼす影響も十分考えられ、控訴を視野に検討していく」とのコメントを出した。」
以下は、同じく、朝日新聞デジタル(2015年4月7日)からの引用です。
ファウルボールで失明訴訟、日本ハム側が控訴
「札幌ドームでプロ野球の試合を観戦中にファウルボールが当たり、右目を失明した札幌市の30代女性が、主催者の北海道日本ハムファイターズなどに損害賠償を求めた訴訟で、日本ハムなどは7日、約4200万円の賠償を命じた札幌地裁判決を不服として札幌高裁に控訴した。」
提訴した当時、このブログで取り上げた気がしていましたが、気のせいだったようです。
過去の報道によると、提訴は2012年7月13日だそうですから、一審判決が出るまでに、3年近くかかったことになります。
控訴したそうですので、解決までに、更に、長い年月がかかることになります。
プロ野球観戦の臨場感も、大切なのかも知れません。
しかし、「怪我をした人は、不運だけれども、臨場感のためには、仕方がない。」ではなく、「臨場感は大切だけれども、そのために不幸にして怪我をした人は、救われなくてはならない。」という発想は、できないのでしょうか。
怪我をしても、補償して貰えず、判決が出ても、控訴されるような球場に、観戦しに行く気に、なるのでしょうか。
本件のような家族連れでも、球場内で売っているアルコールに酔って、とっさにファウルボールをよけることなどできない酔っ払いのオヤジでも、安心して観戦できるプロ野球であるべきなのではないでしょうか。
法律的には、土地工作物責任は過失の立証責任を転換しているので、というお話になりますが。
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