以下は、YOMIURI ONLINE(2015年03月17日)からの引用です。
「大阪地検が、公判中に大阪拘置所の居室を捜索し、弁護人に送ろうとした手紙などを押収したのは違法として、元被告の男性(44)(受刑中)と元弁護人が計3300万円の国家賠償を求めた訴訟の判決で、大阪地裁は16日、計110万円の支払いを国に命じた。
佐藤哲治裁判長は、被告と弁護人が誰にも知られず意思疎通できるよう刑事訴訟法が認めた接見交通権を検察官が侵害したと認定した。
判決によると、男性は2009年9月、大阪府柏原市で08年9月に起きたパチンコ店強盗事件で逮捕、起訴された。
当初は強盗罪などの起訴事実を認めたが、1審の公判中、「アリバイがあり、事件には関与していない」と否認に転じた。
このため、争点などを確認し直す期日間整理手続きがあり、終了後の10年7月、地検は、共犯者と手紙などで口裏合わせをし、証拠隠滅を図っている疑いがあるとして拘置所の居室などを捜索。
取り調べの不満を書いた弁護人宛ての手紙や、被告人質問に備え弁護人が質問事項をまとめた書面など計47点を押収した。
判決は、捜索が期日間整理手続き終了の翌日で、「弁護活動の準備が整い、居室に関連資料が集積されていると予測できた」と指摘。
「これらが押収されると公判戦略に影響し、男性の不利益は大きい。検察官は、男性に反論の機会を保障した防御権や弁護権への配慮を欠いた」とした。
男性側は、捜索令状を発付した大阪地裁裁判官にも過失があったと主張したが、判決は「裁量の逸脱はなかった」と退けた。
男性は1、2審で懲役10年の判決を受け、最高裁で確定した。
男性とともに提訴した1審弁護人の宮下泰彦弁護士(39)は判決後の記者会見で、「手段を選ばない検察の横暴を違法と認めた意義は大きい」と評価。
弁護士約170人が参加した男性側弁護団の森直也・事務局長は「検察には、起訴後の被告は捜査対象者ではなく、公判で対等な立場だという意識が低い。判決を機に考え直すべきだ」と話した。
北川健太郎・大阪地検次席検事は「国の賠償責任が認められたのは予想外。判決内容を精査し、適切に対応する」としている。」
捜索差押令状に、目的物として、「弁護人宛ての手紙」とか、「弁護人が質問事項をまとめた書面」などと書いてある訳がないので、例示列挙の後に、「その他本件に関係ありを思料せられる一切の文書及び物件」などと、書いてあったのでしょうね↓
http://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=58686
でも、そもそも、罪証隠滅の恐れがあるということで、それを防ぐために、勾留されているのではないでしょうか。
そして、被告人に渡される文書にしても、被告人が送る文書にしても、全て検閲されているのではないでしょうか。
「共犯者と口裏合わせをし証拠隠滅を図っている手紙」は見つかったのでしょうか。
何のための捜索差押だったのでしょうか。
北川健太郎・大阪地検次席検事は、私が修習生時代の指導担当検事でした。
この事件が起こった2010年7月には、大阪地検にはいなかったと思いますが、適切に対応することと思います。
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